ごみを捨てられるのは、あと25年!?「日本一の清掃員」が教えるごみの捨て方とお金の使い方【滝沢秀一さん】

お笑い芸人として活躍する一方で、ごみ清掃員として働きながら、ごみの分別方法やごみにまつわる問題について発信しているマシンガンズの滝沢秀一さん。

36歳の時、お笑いだけでは食べていけないと働き始めたのが、たまたまごみ清掃員という仕事だったと言います。最初は嫌々ながら仕事を続けていた滝沢さんが、「日本一のごみ清掃員」を目指したきっかけと変化とは? 

また、もっと多くの人に知ってもらいたいごみの問題や捨て方、ごみに目を向けるようになって変わったご自身の生活についても聞きました。
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滝沢秀一 
shuichi takizawa
芸人(マシンガンズ)/ごみ清掃員
お笑いコンビ「マシンガンズ」として活動する傍ら、生計を立てるために始めたごみ清掃員の仕事を通じて、ごみ問題や環境保護に関する発信を精力的に行う。2018年には、環境省より「サステナビリティ広報大使」に任命された。SNSや著書を通じて、現場の視点からごみの出し方やごみの削減をユーモアを交えて提案し、多くの関心を集めている。

「日本一のごみ清掃員」を目指して、SNSでごみにまつわる発信をスタート

ーー2012年にごみ清掃員として働き始めた当初は、辞めたくて仕方なかったそうですね。

滝沢:最初は「仕事に就けてラッキー」と思っていたんですけど、やっぱりやらされていると思いながらする仕事ってだんだん嫌になってくるんですよね。1日7〜8時間も働くわけだから、つまらないと感じながら仕事をしていると、人生もつまらなくなってしまう。

ーー「やらされている」という意識が変わったきっかけは、なんだったのですか?

滝沢:トーク番組を見ていたら、あるお笑いコンビがMCから一番遠い席に座っていたんです。彼らはM-1チャンピオンで日本一の漫才師なのに、端っこにいる。あの2人で端なら、「僕は一体どこに座れるんだろう?」とふと思ったんですよ。

つまり、その番組に僕が呼ばれることはないな、と痛感したんです。それまではお笑いを続けながら食うためだけにごみ清掃員をやっていたけど、まずは目の前のことを一生懸命頑張るしかないと切り替えました。それで、「日本一のごみ清掃員」になろうと決意したんです。

マシンガンズ滝沢秀一さん

ーーどうしたら日本一のごみ清掃員になれる、と考えたのでしょうか。

滝沢:そもそも、日本一のごみ清掃員という概念なんてないんですけど(笑)、分別されていないごみにただ腹を立てるのは違うんじゃないかと思って、ごみをよく見てみたら、一つひとつにストーリーみたいなものがあることに気がついたんです。

ーーごみのストーリーとは?

滝沢:例えば、ビールの空き缶に枝豆の皮を入れて捨てるのって、「俺は分別なんてしない」という意思を感じるじゃないですか。

一方で、ペットボトルの入ったビニール袋にシャンプーの空き容器も入っていて、その容器はしっかり洗われていたら、それはわざと分別していないんじゃなくて、ルールを知らないだけだとわかります。

じゃあ、まずは「分別の意思はあるけど、ルールを知らない人」にフォーカスして、ごみにまつわる情報を伝えようとSNSで発信を始めました。

ーー発信を始めて、すぐに反響はあったのでしょうか?

滝沢:同じ事務所の先輩である有吉弘行さんがリツイートしてくれたことで、すごく拡散しました。最初は、ごみ清掃に関する面白ネタの投稿をしようと思ったんですけど、有吉さんからDMで「そっちの方向じゃないよ」とアドバイスをいただいて。

面白ネタに走らず、ごみのことを誠実に伝えていく方向に定めることができました。本当に有吉さんには、足を向けて寝られないです(笑)。

マシンガンズ滝沢秀一さん

ごみは永遠には捨てられない。まずは捨て方を見直してほしい

ーーごみ清掃員として働くなかで、みなさんにまず知ってほしいことは何ですか?

滝沢:ごみの量ですね。当たり前ですが、目の前から見えなくなったらごみがなくなるわけではありません。僕がごみ清掃員になってから驚いたのは、ごみは永遠に捨てられるわけではないってこと。

日本全国で平均すると、あと約25年後には最終処分場がいっぱいになって、ごみを捨てる場所がなくなってしまうと言われているんです。だから、ごみの量を減らさないといけない。町単位でごみを集めると、本当に相当な量になるんですよ。

ーー1日でどのくらいのごみを収集されるのですか?

滝沢:パッカー車(ごみ収集車の一種)って、1台で2トンくらいごみが入るんです。ごみ清掃員になる前は、1台を満杯にしたら1日の仕事が終わるのかなって思っていたんですが、違うんですよ。

1日6回くらい回収するんです。だから、1台のパッカー車で1日10〜12トンは回収します。清掃工場に行くと、そんなパッカー車が20台くらいありますから。

マシンガンズ滝沢秀一さん

ーーそんなに……。私たちは、まず何から変えていけばよいのでしょうか。

滝沢:すごく初歩の話をすれば、まずは生ごみの水気を絞るだけでもいいんです。それでごみの量自体が減るわけではないですが、それ以前に世の中には汁を絞らない人がたくさんいるんですよ。

汁がなければごみの臭いも減るし、回収にかかる税金も安く済ますことができる。汁を絞らないということは、使わなくていい税金が使われてしまうことなんですよ。

ーーそう言われると、自分ごととしての実感が湧いてきますね。その他に、ごみの捨て方について知ってほしいことはありますか?

滝沢:本当によく聞かれるのが、プラスチックの分別方法です。例えば、お惣菜のプラスチック容器についているシールは、ざっくり剥がしてもらうだけで大丈夫です。

完璧に剥がさなきゃいけないと思っている方が多いのですが、回収した後に熱処理するので、途中で燃えてなくなるんです。ただ、だからといってみんなが剥がさないと機械が詰まる原因になるので、できる範囲で剥がしてほしいですね。

リサイクルされる過程を知れば、自分が何をすべきかもわかるんですけど、ルールしか周知されないから、きっとみんな困っちゃうんですよね。

ーーそもそもルールが細かくて覚えられない、という人も多いと思います。

滝沢:今は多くの自治体でごみ分別のAIアプリがあるので、それを活用してほしいです。プラスチックの扱い方がわかれば、あとはそんなに難しいことはないので。

プラスチックが燃えるごみなのか、燃えないごみなのか、資源なのか、そこだけ自治体の案内でぜひ確認してください。

ごみ捨ては買うところから始まる。ごみから学んだお金の使い方

マシンガンズ滝沢秀一さん

ーー捨てられているたくさんのごみを見て、何か気づくことはありましたか?

滝沢:高級住宅地と言われる地域は、圧倒的にごみが少ないですね。安い物をたくさん使い捨てるんじゃなくて、高くても気に入った良い物を買って、長く使っているからなんでしょうね。

高級住宅地に限らず、ごみの集積所を見るとどんな人が住んでいるかわかるんですよ。ごみに目を向けられる人は、お金の使い方にも健康にも目を向けられるし、生活をしっかり管理できるんだなと感じます。

ーーそういった気づきがあったことで、ご自身の生活に変化はありましたか?

滝沢:ごみを減らそうと意識するようになりました。僕はごみを回収する清掃員ですが、その一方で、ごみを回収してもらう生活者でもある。だから基本的なことですが、ちゃんと分別をしています。

紙とプラスチックを分別して資源に回すだけで、ごみの量はだいたい3分の1は減ります。さらに生ごみを減らすためにコンポストを始めたら、ごみの量が劇的に減りました。

ーーどのくらい変わったのですか?

滝沢:昔は子どもが小さかったこともあって、週2回の回収で45リットルの袋を合計6袋くらい出していたんです。今は1週間に1袋も出してないんじゃないかな。洋服もレンタルサービスを利用しているので、着なくなった洋服を捨てることもなくなりました。

マシンガンズ滝沢秀一さん

ーー月に24袋から4袋はすごい変化ですね! 

滝沢:ごみを減らすには、実は物を買う段階から考えることもポイントですね。まさに高級住宅地のごみの捨て方から、お金の使い方を学びました。

どうせお金を使うなら、どんな物を誰から買って、何に使うかをしっかり考えようと思うようになったんです。ごみを減らすために、過剰包装の物は避けようとかね。

ーー確かに、物を買う段階から捨てる時のことまで考えた方がいいですよね。粗大ごみは捨てるのにもお金がかかりますし。

滝沢:そうそう。あとは、値札がついたままの洋服が捨てられていることってよくあるんですよ。安いから買ったはいいけど、気に入らなくて結局着ないまま捨ててしまうんでしょうね。

そういう服が何着もごみ袋から出てくると、高い服を1着買った方が結果的に安上がりなんじゃないかと思います。

ーーごみ捨てって、奥が深いですね。日々忙しくても、ごみの分別を楽しんで続けるには、どうしたらいいのでしょうか?

滝沢:そういう人は、まずは紙とプラスチックだけでも分別すれば、それでいいと思います。プラスチックはペットボトルのラベルを剥がしたり、チラシや封筒などの明らかな紙だけでも古紙回収に出すとか。

最初はそういう、超わかりやすいことだけでもいいんです! それに、ごみが減るとごみ出しが減るので、単純にすごく楽になりますよ。ごみ出しのルールもそんなにガチガチに考えるのではなく、自分が心地よく暮らすために、できることからやってもらえればいいと思っています。

マシンガンズ滝沢秀一さん

編集:株式会社4X
執筆:末光京子
撮影:橋本千尋

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