南極のこと、どれくらい知ってる?「大南極展」で観測の裏側と地球の過去や未来を知ろう!【イベントレポート】

現在、東京・お台場の日本科学未来館で開催されている特別展「大南極展」をご存知ですか? 都会にいながら南極を身近に感じられる話題の展覧会で、来場者はすでに15万人を突破(※)。

実は、南極は地球環境を知るうえでとても重要な場所だそうです。一体、それはなぜなのでしょうか? エシラボ編集部が、南極観測の成果を楽しみながら学べる特別展「大南極展」を実際に体験しながら、地球環境を理解するうえで南極を知ることの意味を調査してきました!

※2026年9月上旬時点

特別展「大南極展」とは?

大南極展

特別展「大南極展」は、日本科学未来館で9月27日(日)まで開催されている特別展です。

実は南極は、人間の活動による影響が少ないため、氷や大気、海洋、生物など、地球環境の変化をありのままに観測することができる重要な場所です。つまり、南極を知ることは、地球の過去を紐解いて、未来を見通すことにもつながるのです。

1956年に第1次南極地域観測隊が東京を出発してから70年にわたり、日本は南極で観測活動を行ってきました。そこで得られた長期データは、気候変動の解明や将来予測に大きく貢献しています。

今回の特別展「大南極展」では、そうした南極観測の成果を「見て・さわって・体験して学べる」形で展示。子どもから大人まで、幅広い世代が楽しみながら南極の環境や生き物、観測隊のくらしを学べる内容となっています。

開催概要
特別展「大南極展」
会期:2026年7月1日(水)~9月27日(日)
開館時間:10:00~17:00(入場は閉館の30分前まで) ※休館日: 9月15日(火)
会場:日本科学未来館 1階 企画展示ゾーン 〒135-0064 東京都江東区青海2-3-6
主催:日本科学未来館、国立極地研究所、ドリームスタジオ、テレビ朝日、朝日新聞社
公式サイト:「大南極展」

特別展「大南極展」の見どころをレポート!

展示は10のエリアから構成されており、展示物の数は全部で180以上! 来場者が実際に触ったり持ったり、体験できるコンテンツもたくさん用意されています。

会場に入ると、入り口で「ミッションシート」をもらいました。会場内の「隊長スポット」を巡りながらクイズや体験ミッションに挑戦すると、「特別南極観測隊員」を目指せるとか。

大南極展

では、さっそく特別展「大南極展」の各エリアを見てみましょう!

展示1:本物の南極の氷にさわろう

氷山をイメージしたカーテンをくぐると、そこは「南極上陸エリア」。ここでは、南極で実際に採れた氷が展示されていて、触ることができるんです!

大南極展

氷に覆われ、「氷の大陸」とも言われる南極。南極の氷は、大陸に降り積もった雪が数万年という長い時間をかけて押し固められたものです。そのため、雪が降り積もった当時の空気が含まれていて、氷が融けると中に含まれた何千年、何万年も前の空気が音を立てて出てくるんだそう。

実際に氷に耳を近づけてみると、本当にプチプチと音が聞こえました! はるか太古の空気の音が聞こえてきたと思うとなんだか感動です。

この南極の氷ですが、なんと下3桁777番目の来場者にプレゼントする企画を実施しているそう! ぜひ来場して運試ししてみてくださいね。

展示2:深層アイスコアを観察しよう

いよいよ本格的な展示が行われている「観測エリア」へ。観測エリアには決まった順路はなく、気になるエリアから自由に見て回れます。

まずは、深層アイスコアを間近で観察することができる「アイスコアエリア」に向かいました。

大南極展

アイスコアとは、南極の氷床の深部から採取された氷のサンプルのこと。数十万年前の大気の成分をそのまま取り出せる唯一の研究資料なので、地球の気候変動を読み解く「タイムカプセル」と言われているそう。通常は、国立極地研究所で厳重に保管されていて、一般公開されるのは非常に稀なんだとか。

今回展示されているのは、深さ2,499mから掘削されたアイスコアで、なんと34万年前の空気を含んでいます。そんな気が遠くなるほど昔の南極の記憶が目の前のアイスコアに詰まっているとは、なんだか信じられません。

大南極展
一般公開が非常にまれな南極の氷床の深部から採取されたアイスコア

地球は、寒冷な氷期と比較的温暖な間氷期を繰り返していますが、過去にはその周期が現在と異なる時代もありました。その年代の二酸化炭素の濃度や気温を推定できるアイスコアは、気候の周期が変化した理由を解き明かす鍵として期待されているのだそう。過去の気候を理解することは、将来の環境変化を予測するうえでも役に立つのです。

展示3:ブリザードを体感しよう

続いて、会場奥の「ブリザードエリア」へ。ブリザードは、強い風と舞い上がった雪で視界が急激に奪われる気象現象のこと。激しいブリザードが起きた時には視界が奪われるだけでなく、平衡感覚も失われてしまうので、外出が禁止となるほど危険なものだそうです。ここでは、そんなブリザードを擬似体験することができます。

エリアに入ると、まず平衡感覚に変化が起きました。ブリザードの中では、強風と視界不良で自分が上を向いているのか、下を向いているのかもわからなくなると言います。わずかな時間でしたが、柵に掴まっていないと不安になる感覚を味わいました。

大南極展

その次は、強風と視界不良を体験。強い風で雪が舞い上がるので、すぐそこの鏡に映る自分の姿もはっきりと見えませんでした。実際の南極では、刺すような冷たさの風や雪が体中にぶつかってくると考えると、過酷な環境であることが想像できます。

大南極展

展示4:南極の本物の隕石を持ってみよう

続いて、「隕石探査エリア」へ。隕石と聞くと、あまり南極には関わりがないように感じていましたが、南極は「隕石採集の聖地」と呼ばれるほど、たくさんの隕石が見つかっています。国際隕石学会に登録されている隕石の約60%が、南極で採取されているのだそう。

大南極展

ここでは、これまで日本の観測隊が見つけた約17,400個の隕石の中から、厳選した30点以上の隕石が展示されています。鉄隕石の重さを実感することができる仕掛けや、月や火星から飛来した珍しい隕石も。

大南極展

大阪・関西万博で展示されて話題を呼んだ、「さわれる火星隕石(スライス)」の実物も見ることができました。隕石を分析することで、太陽系の起源を解き明かすことができるそうで、南極の隕石が宇宙の謎を解く鍵になるなんて、ロマンを感じました。

展示5:南極の生き物の生態を知ろう

「生き物エリア」は、南極でくらす生き物の生態を観察することができるエリア。南極の生き物といえば、連想するのはペンギンではないでしょうか。南極地域観測隊は、昭和基地周辺にあるアデリーペンギンの営巣地で、「ペンギンセンサス」という個体数を記録する長期調査を行っています。

大南極展

繁殖や個体数の変化を追うことで、南極の環境変化が生態系に与える影響を知る手掛かりになるそうです。ここでは、ペンギンセンサスの調査方法を体験できるコーナーも。取材チーム5人で挑戦しましたが、きちんと数えられたのはたった1人。かなり集中力がいる作業だと感じました。

大南極展

近年、昭和基地周辺のアデリーペンギンの個体数は増加しているといいます。それだけ聞くと、とても喜ばしいことのように感じますが、これは海を覆う氷が温暖化の影響で減少したため、ペンギンが一時的に住みやすい環境になっていることに起因しているそう。地球環境の変化が、動物たちの生態にダイレクトに影響を及ぼしていると実感しました。

展示6〜8:地質調査・海洋観測・大気観測エリア

展示はまだまだ続きます。「地質調査エリア」では、南極の岩石を観察しながら、大陸の移動や地球の歴史、地質調査の裏側を学ぶことができます。

大南極展

岩石には、数億年前に南極がアフリカやインドとともにゴンドワナ超大陸をつくっていた証拠が残っているんだそうです。南極がインドと地続きだったなんて、ちょっと信じられません。

「海洋観測エリア」では、南極の海の変化を追う最新の調査が紹介されていました。ここで驚いたのは、南極の氷床は温暖化によって温められた海水が触れることで、海の中から融けているということ。

大南極展

氷の表面ではなく、より深い場所が融けることで、上に載った氷床を支えきれなくなり、海への流出が一気に加速してしまうんだそうです。もし南極の氷床がすべて融けてしまうと、海面は約60メートルも上昇すると考えられています。例えるなら、東京のほとんどが海に沈んでしまう計算になるとか。

こうした事態を避けるため、現地の観測データを元に、海面上昇に対する氷床融解の影響などの研究が進められています。海面上昇は、本当に切迫した問題なんですね。

「大気観測エリア」では、南極の空を調べるゾンデ気球や観測装置が展示されています。南極では、二酸化炭素などの温室効果ガスやオゾンなど、地球規模の環境変化に関わる長期的なモニタリングが行われています。

大南極展

南極の大気や気象の仕組みを解き明かすことで、地球環境の将来をより正確に予測できるようになるそうです。南極上空でオゾンが大きく減っていることを発見して、1984年に世界で初めて「オゾンホール」として発表したのも日本だったと知って驚きました。

この発見がフロンなどのオゾン層破壊物質を国際的に削減するきっかけになったのは、同じ日本人として誇らしい気持ちです。その他にも、年々増加している大気中のCO2濃度の推移など、地球で生きる私たちにとって、気がかりな数字を知ることができました。

展示9〜10:オーロラ観測・昭和基地エリア

「オーロラ観測エリア」では、昭和基地で撮影された迫力あるオーロラ映像を見ることができ、オーロラができる仕組みについても展示されています。

大南極展

「昭和基地エリア」では、これまで見てきた展示物の採取や観測、研究を担当している南極観測隊が、南極でどのように生活しているのかが紹介されていました。なかでも一番目を惹いたのは、食事の紹介です。和洋中、さまざまなメニューが提供されていたのにも驚きましたが、一番人気のメニューは新鮮な野菜で、キャベツの千切りがご馳走なんだそう。

大南極展

そして展示の最後には、オーロラのような光に包まれながら歩く特別な「帰り道」が用意されています。幻想的な空間を歩きながら、じっくりと展示の余韻に浸ることができました。

大南極展

南極の展示から、地球の過去と未来を見つめてみよう

特別展「大南極展」では、南極という過酷な環境の中で、観測隊が氷床、大気、海洋、生物など、予想以上にさまざまなミッションに携わっていることを知りました。

そして、70年に及ぶ長期的な観測によって地球の過去を知ることで、この先、地球がどのような姿になっていくのか、より正確に知ることができるのだとわかりました。

私たちがくらす日本と昭和基地は直線距離で約14,000kmも離れていますが、オゾンホールの問題や氷床が融け出している問題など、そこで起きていることは私たちの生活と密接に関わっています。

展示は、見て触って体験して楽しめる構成になっているので、ぜひ親子で地球のこれからについて一緒に考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

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