サステナブルとは？

サステナブル（Sustainable）は、英語で「持続可能である」という意味の言葉です。世界が持続可能な発展を目指せるよう、環境保護、社会的責任、経済的発展などをバランスよく実現するための取り組みを指します。

具体的には、資源の効率的な利用や再生可能エネルギーへの転換、倫理的な消費などが行動例としてあります。

SDGsとの違い

サステナブルな社会を実現するために、世界共通の課題を解決する目標として定められたのが、SDGsです。SDGsとは、持続可能な開発目標（Sustainable Development Goals）の略称で、2015年に国連で採択された、2030年までに達成すべき17の目標を指します。

これらの目標は、貧困の撲滅、教育の普及、ジェンダー平等、気候変動対策など、幅広い分野での持続可能な発展を目指しています。

SDGsでは、国家だけでなく企業や市民など、あらゆる人がゴールに向けて取り組むことを求めており、私たち一人ひとりの活動も重要になります。

エシカルとの違い

エシカルとは、倫理的な観点から物事を考え、行動することを意味します。具体的には、人権の尊重や環境保護、公正な取り引きなどを重視した消費やビジネスを進めることを指します。エシカルな取り組みは、サステナブルな発展のための一環ですが、より個人や企業の倫理的な側面に焦点を当てているのです。

サステナブルは、持続可能な発展のための枠組みとして環境、社会、経済の全ての側面をバランスよく取り入れることを目指しています。一方、エシカルは主に倫理的な視点から持続可能な行動を行うものです。つまり、エシカルな行動は、サステナブルな取り組みの一部として含まれます。

なぜサステナブルが注目されているの？

それでは、どうしてサステナブルという概念が注目されているのでしょうか。大きく「環境面」「社会面」「経済面」という3つの観点からご紹介します。

環境面での背景

まずは環境面で言うと、気温の上昇や極端な気象現象による災害の頻発など、地球温暖化や気候変動の影響が顕著になり、私たちの日常生活にも影響を及ぼしています。また、海洋汚染による生態系の破壊や森林伐採による二酸化炭素の吸収源の減少など、環境への悪影響も広がっています。

資源の浪費も深刻です。化石燃料など有限の資源を無計画に消費し続けることは、将来の世代にとって大きな障害となります。こうした問題を解決するためには、資源の効率的な利用を進め、環境負荷を抑えるサステナブルな活動が必要です。

社会面での背景

近年、ビジネスの現場では、Environment（環境）、Social（社会）、Governance（ガバナンス（企業統治）の略称である「ESG」を中心とした、経営戦略の重要性が増しています。ESGは企業の長期的な持続可能性を評価する指標となっており、投資家や消費者からの関心も高まっています。

環境に配慮した経営は、企業のブランドイメージを向上させ、競争力を強化するだけでなく、持続可能な社会の実現にも貢献するのです。このような背景もあり、サステナブルな活動に注目が集まっています。

経済面での背景

また、国や地域、ジェンダーによる経済格差は顕著となっています。World Inequality Labが公開している「世界不平等リポート2022」によれば、世界の上位10％の裕福な個人が所有する富は、全体の75.6％を占めているという結果もあります。

開発途上国や低所得地域では、今も経済的に困難な状況にある人々がおり、こうした格差は持続可能な社会の実現を妨げる要因の一つです。格差を減らすことで、社会的公正さが求められているのも、サステナブルな取り組みが注目されている理由です。

サステナブルな取り組みの重要性

サステナブルな取り組みは、どうして重要なのでしょうか。ここでは、前述した「環境面」「社会面」「経済面」の3つの背景を踏まえて、その理由を解説します。

地球環境の保全と気候変動の緩和

地球環境の保全や気候変動の緩和は、今の世代だけでなく、未来の世代にも影響を及ぼす重要な課題です。地球環境が破壊され、気候が不安定になれば、将来は今と同じような生活をおくることが困難になってしまう可能性もあります。

未来の世代に悪影響を及ぼさないように、温室効果ガスの削減や再生可能エネルギーの普及、効率的な資源利用といった、サステナブルな取り組みが求められます。

公正な移行と格差の是正による生活の質の向上

誰も取り残さない形でサステナブルな社会へと公正に移行し、経済格差の是正を通じて、生活の質を向上させることが重要です。

開発途上国や低所得地域の人々が直面する、経済的困難は深刻です。教育、医療、職業機会の均等化を図ることで経済格差を縮小して、全ての人々が平等に豊かさを受け取れる社会をつくることが求められています。

新たなビジネスチャンスの創出

持続可能な取り組みは、新たなビジネスチャンスを生み出す可能性も秘めています。サステナブルやエシカルを意識している消費者に向け、環境に配慮した製品やサービスの開発を進めることで、市場拡大や企業の競争力強化にもつながります。

近年では、消費者の環境意識の高まりもあり、前述したエシカル消費も進んでいる状況です。価格のみで商品を選ぶのではなく、その商品を選択することで生まれる効果も意識されつつあるため、企業にとっては、新たな付加価値を提供できるチャンスです。

サステナブルな社会の実現に向けた動き

具体的にサステナブルな社会の実現に向けて、世界や日本ではどのような活動を進めているのでしょうか。それぞれみていきましょう。

世界の取り組み

世界各国は、SDGsで定められた目標を踏まえて、サステナブルな世界を実現するために多岐にわたる活動を展開しています。その中核となるのが、国際連合、国連グローバル・コンパクト、世界経済フォーラムなどの組織です。

SDGsは、国連の「持続可能な開発サミット」で話し合われ、決められたものです。国連ではSDGsの達成に向けた進捗状況のモニタリングや普及啓発活動などを進めています。また、国連グローバル・コンパクトは国連と民間が手を結び、サステナブルな社会の実現のための活動を進めています。

官民連携のための国際組織である世界経済フォーラムでは、グローバルかつ公平な非営利のプラットフォームとして、SDGsを踏まえた経済、環境、社会の変革を推進しています。

日本政府の取り組み

日本においては、2030年までのSDGs達成に向けた戦略として「SDGs実施指針」を策定し、2023年12月には4年ぶりの改定を行いました。この指針では、以下の5つの重点事項が示されています。

① 持続的な経済 ・ 社会システムの構築
② 「誰一人取り残さない」包摂社会の実現
③ 地球規模課題への取組強化
④ 国際社会との連携 ・ 協働
⑤ 平和の持続と持続可能な開発の一体的推進

この指針に基づいて、政府は省庁間や国と自治体の壁を越え、NPO・NGO、有識者、民間セクターなどと連携し、SDGsに向けた活動の実施やモニタリング、フォローアップ・レビューを推進しています。

日本企業の取り組み

日本の各業界でも、企業がサステナブルな社会の実現に向けて、さまざまな取り組みを進めています。例えば、事業活動で利用する電力を100%再生可能エネルギーにすることを目指すメーカーや、全国のショッピングモールで太陽光発電システムを導入している企業があります。

他にも、着古した衣類を回収してリユースしたり、加工してリサイクルしたりしているアパレルメーカーや、閉店前にフードの価格を割り引いて販売することで、フードロス削減に取り組む企業もあるのです。

私たち個人が日常でできる、サステナブルなアクションは？5つの方法を紹介！

持続可能な社会のために、個人ができることもたくさんあります。そこで、ここでは日常生活で取り組めるサステナブルなアクションを5つご紹介します。ぜひ、以下の方法を参考にしてみてください。

フードロスを減らす

冷蔵庫の中身を把握して、必要な分だけを計画的に購入しましょう。また、野菜や果物は保存場所や温度によって、鮮度が大きく変わります。適切に保存することで、食品の無駄な廃棄を減らせます。

省エネ家電を使う

家電は日常的にエネルギーを消費するため、省エネ性能の高い製品を選ぶことで、環境貢献になります。

「統一省エネラベル」や「省エネ基準達成率」を確認して、エネルギー効率が高い製品を選びましょう。また、消費電力が多い古い家電から最新機種へ買い替えるのも、節電と節約の両面で効果的です。

移動手段を見直す

環境に配慮した交通手段に変えることで、二酸化炭素（CO₂）の排出量を減らすことができます。例えば、近距離の場合は車を使わず、歩いたり自転車に乗ったりして移動しましょう。また、電車やバスを使えば、一人ひとりの移動による環境負荷が減少します。

どうしても車が必要な場合は、カーシェアや電気自動車（EV）などの環境に優しい選択肢を検討しましょう。

長く使えるものを選ぶ

紙やプラスチックでできた安価な使い捨て製品ではなく、耐久性や修理のしやすさを重視して、繰り返し長く使える製品を選んでみてください。気に入ったものを手入れしながら、大切に使う暮らし方へシフトしましょう。

環境配慮型の商品を選ぶ

あらかじめ環境に配慮した商品を選ぶことで、気軽に持続可能な社会の実現に貢献できます。企業が環境に対してどのような取り組みをしているかに注目したり、環境に優しい素材や製法で作られた商品についているマークを目印にしましょう。

アスクルでは、環境配慮商品・サービスには、目印として「グリーン商品」や「森林認証商品」などのマークを付与しています。

小さなアクションを通して、サステナブルな未来に貢献しよう

世の中では今、「サステナブル」な取り組みを通して、環境・社会・経済の面で持続可能な発展を目指すことが求められています。根底には地球規模の課題がある一方で、よりよい未来を創出するチャンスでもあります。

また、世界や日本の政府、企業だけでなく、消費者である個人も日常生活のなかで小さなアクションを起こすことで、十分にサステナブルな未来に貢献することができます。

一個人が始めたアクションが、家族や友人、職場、SNSを通じて世の中へと広がっていくかもしれません。ぜひ今日から意識してみてくださいね。