過剰包装が環境にもたらす影響は?問題点や解決策としてできること

私たちがふだん手にする商品は、ほぼ何かしらの形でパッケージされています。一方で、海外のスーパーでは量り売りで売られている商品も多く、日本ほど包装がされていません。

そのため、日本は包装が過剰であるといわれることがあります。Nature誌が2025年に発表した論文によれば、2022年の1人あたりのプラスチック消費量は、アメリカが216kgでEUが86.6kg、そして日本が129kgと比較的高い現実があります(※)。

なぜ過剰包装が発生してしまうのでしょうか。また、過剰包装はどのような問題を引き起こすのでしょうか。今回は、過剰包装について個人ができることも含めて、詳しく解説します。

※出典:SPRINGER NATURE「Complexities of the global plastics supply chain revealed in a trade-linked material flow analysis」https://www.nature.com/articles/s43247-025-02169-5

過剰包装とは?

過剰包装

過剰包装とは、商品を必要以上に包装することであり、廃棄の増加や包装製造時のCO2排出など、環境負荷を高める原因にもなります。

環境省が年次で実施している「容器包装廃棄物の使用・排出実態調査」の令和6年度版によれば、容積比率において日本のゴミの約6割が容器包装であることが明らかとなっています(※)。このように、ゴミに占める包装の割合は大きく、過剰包装を減らすことは地球環境を守るために重要な取り組みといえるのです。

※出典:環境省「容器包装廃棄物の使用・排出実態調査の概要(令和6年度)

過剰包装が発生してしまう理由

特に日本では、見た目が美しく、丁寧にパッケージされた商品を目にすることが多くあります。一つひとつが個包装されていたり、箱や袋に何重にも包まれていたりと、包装の多さが際立つ傾向にあります。

その背景には、日本特有の「品質重視」の文化があるといわれています。商品をできるだけ傷つけずに届け、衛生面でも安心できて、見た目も含めて高品質であろうとする意識が強いため、必要以上に丁寧で過剰な包装が選ばれてしまうのです。

さらに、日本には贈答文化が根付いており、贈り物に美しい包装を施すことがマナーとされています。のし紙やリボン、箱などで丁寧に包む慣習が、包装材の使用を増やす一因となっています。

このように、丁寧さ・清潔感・美しさなどを重視する文化的背景が、結果として過剰包装につながっているといえるのです。

過剰包装と過大包装の違い

過剰包装と似ている言葉として、「過大包装」という言葉があります。この過大包装も過剰包装の要因の一つになっています。

過大包装は、実際よりも中身を多く見せかけるものであり、消費者の誤解を招く恐れがある包装のことです。過大包装は消費者をだます行為であり、自治体によっては条例で過大包装に対する規制がかけられています。

例えば、大阪市では目安として空間容積が15%以上のものや、包装経費が15%以上のものなどを過大包装と定義しています(※)。いわゆる「あげぞこ」など、外観からは分からないように容器の底を上げるものも過大包装と定義されているのです。

過大包装は、包装により消費者の誤認を誘うだけでなく、余計な包装を利用することで過剰包装にもつながってしまいます。

※出典:大阪市「過大包装基準について

過剰包装が引き起こす問題は?

過剰包装

過剰包装は、限りある資源のムダ遣いとなるだけでなく、ゴミ処理や環境破壊の問題を引き起こすものでもあります。

資源利用の観点

包装に使われる材料には、石油由来のプラスチックや紙の原料となる木材など、再生に時間がかかる資源が多く含まれています。限りある資源である化石燃料の枯渇に加え、木材の過剰利用は森林減少による砂漠化や地球温暖化の原因となります。

過剰包装は、こうした貴重な資源を必要以上に消費することにつながってしまうのです。

ゴミ処理の観点

包装は商品を開封した直後に不要となることが多く、すぐにゴミとして廃棄されます。過剰包装が多いほど、家庭や企業から出る廃棄物の量は増加してしまいます。

また、ゴミを処理するためには、多くのエネルギーとコストがかかります。焼却時に排出されるCO2も問題となります。容器包装はリサイクルの対象とされており、2023年には全体の66%がリサイクルされていますが(※)、リサイクルを行うこと自体にコストがかかるのも事実です。

※出典:公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会「年次レポート 2023」P4より

環境破壊の観点

包装が適切に処理されず、ポイ捨てされてしまう可能性もあります。特に包装に利用されるプラスチックは分解されにくく、長期間にわたって環境中に残留してしまいます。

これらのプラスチックゴミが海に流れ込み、海洋生物が誤って摂取してしまうと、健康被害を引き起こして生態系全体に悪影響を及ぼすことにもなってしまうのです。

過剰包装を減らすために私たちができること

過剰包装

このようにさまざまな問題を引き起こしている過剰包装ですが、消費者個人の取り組みによって減らすことができるものでもあります。具体的に何ができるのか、見ていきましょう。

包装を断る

店頭で包装の有無を聞かれた時、購入後すぐに商品を使う場合やどうしても必要でなければ断りましょう。もしくは、必要最小限の包装をお願いしましょう。

また、液漏れがない商品であれば、スーパーで備え付けられているポリ袋の利用を控えるのも有効です。

シンプルな包装の商品を選ぶ

商品を選ぶ際は、必要最低限の包装やリサイクルしやすい素材を使った包装を採用している商品を意識してみましょう。

最近では、パッケージを簡素化したり、量り売りに対応したりする店舗も増えており、こうした選択肢を積極的に活用することが、包装資源の削減につながります。

また、企業側のパッケージング方針にも消費者の選択が影響を与えるため、シンプルな包装の商品を選ぶという小さな行動が、持続可能な商品設計の促進にもつながります。

こうした流れの中で、最近では「ラベルレス」商品も登場しています。ボトルなどに貼られているプラスチック製ラベルを省くことで、リサイクルをしやすくし、廃棄物の削減にも貢献する工夫です。

ラベルレスの商品一覧(LOHACO)

再利用できる包装を選ぶ

繰り返し使える布製の巾着袋や缶、紙箱などが包装として利用された商品を選ぶこともおすすめです。できるだけ、リユースやリサイクルできる包装を選びましょう。

また、自宅で収納やDIYの材料として包装材を再利用するのも有効です。最近では、エコバッグとして再利用できる袋を包装として提供する店舗や、小物入れとして再利用できるギフトボックスを提供する店舗などもあります。

少しの意識で過剰包装の文化を変えていこう

過剰包装は、資源のムダ遣いとなるだけでなく、森林破壊や海洋汚染など、環境に悪影響を及ぼす原因にもなります。

日本においては、まだまだ過剰包装された商品が多く見られます。こうした現状を変えていくためには、企業だけでなく、消費者個人であるみなさんの意識も重要です。

企業は消費者が求める商品やサービスを提供するため、消費者が簡易包装の商品を選ぶようになれば、自然と過剰包装の文化も変わっていくでしょう。

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