この記事の目次
サステナブル素材とは?
「サステナブル素材」とは、環境や社会の持続可能性に配慮した材料や生地のことです。具体的には、次のような素材を指します。
<サステナブル素材の例>
- 天然素材
- 再生可能資源を原料とするバイオマス素材
- オーガニック素材
- リサイクル素材(再生ポリエステル繊維など)
- アップサイクル素材
- 無水染色加工の素材
- フェアトレード素材
- アニマルフリー素材
これらのサステナブル素材は、生産から販売、廃棄に至るまでの製品ライフサイクル全体において、環境負荷の低減に加え、人権への配慮や動物倫理の尊重にもつながる可能性があります。
そもそも、近年よく耳にするようになった「サステナブル(Sustainable)」とは、「持続可能な」という意味で、世界が持続可能な発展を目指せるよう、環境保護、社会的責任、経済的発展などをバランスよく実現するための取り組みを指します。
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サステナブル素材を活用するメリット・デメリット
次に、サステナブル素材のメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット
サステナブル素材を活用するメリットの一つとして、まず挙げられるのが「SDGsへの貢献」です。
サステナブル素材は、「持続可能な生産と消費」を目指す考え方に基づいており、製品のライフサイクル全体にわたって環境負荷の軽減や社会問題への配慮が期待されています。そのため、SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」と深く関わっているのです。
また、サステナブル素材は個々の特性や生産背景に応じて、SDGsのその他の目標の達成にも貢献しています。
例えば、オーガニック素材は、化学肥料の使用を抑える農法によって土壌や生物多様性の保全に貢献し、目標15「陸の豊かさも守ろう」との関係が深いとされています。
このようにサステナブル素材を選択することは、多方面の課題解決につながっていると言えるのです。
デメリット
一方でサステナブル素材は、一般的な素材と比べて価格が高い点がデメリットです。環境や社会に配慮した生産方法や認証の取得にコストがかかり、価格が上がる傾向にあります。価格面を重視する消費者にとっては、購入をためらう要因になるかもしれません。
なぜサステナブル素材が注目されているの?
2024年にエシカル市場規模調査実行委員会が発表した調査によると、2022年の国内において、社会や環境に配慮した製品・サービスを購入する「エシカル消費」は、約8兆円に上ることが分かりました(※)。近年、大手アパレルメーカーでも、サステナブル素材を使用したジャケットやスニーカーなどの商品開発・販売を進めています。
サステナブル素材が注目されている背景としては、環境問題や社会問題への関心の高まりがあります。「大量生産・大量消費・大量廃棄」を前提とした従来の経済活動は、環境に大きな負荷をかけてきました。
気候変動や資源の枯渇、生態系の破壊、環境汚染などの環境問題が深刻化しているなかで、環境負荷を低減できるサステナブル素材が重要視されているわけです。
また、生産過程における労働環境や人権問題、動物福祉などへの関心も高まっています。特にアパレル分野で注目を集めており、社会の持続可能性にも目を向けたサステナブル素材が求められるようになったのです。
※参考:一般社団法人日本エシカル推進協議会「エシカル市場規模調査実行委員会からのお知らせ」
サステナブル素材にはどんな種類がある?
サステナブル素材は、原材料や製造方法によってさまざまな種類に分けられます。本記事では、自然由来の素材、リサイクル素材、製造工程で環境に配慮した素材、人や動物に配慮した素材の4つに分類して、具体例や特徴を紹介します。
自然由来の素材
自然由来の原材料から製造されるサステナブル素材は、製品のライフサイクル全体で環境にかかる負荷の少なさが特徴です。例としては、天然素材、バイオマス素材、オーガニック素材などがあります。
●天然素材
天然素材とは、綿や麻、竹などの自然界に存在する原料を最低限の処理で使用した素材です。自然で分解される「生分解性」を持つものが多く、地球の循環サイクルとの調和性が高い傾向にあります。
●バイオマス素材
バイオマス素材とは、トウモロコシやサトウキビなどの有機資源由来のもので、プラスチックなどに活用されます。化石資源由来のプラスチックと比較すると、原料が成長時にCO₂を吸収するため、カーボンニュートラルとされることが多く、温室効果ガスの排出量が抑えられると期待されています。
●オーガニック素材
オーガニック素材とは、化学的に合成された肥料や農薬を使用しない有機農業で栽培された原材料から製造される素材であり、生態系の保全や環境汚染などの防止に貢献します。オーガニックコットンや、オーガニックリネンなどが代表的です。
リサイクル素材
リサイクル素材とは、不要品や廃棄物などを新しい素材として再生させたものを指します。「再生素材」とも呼ばれ、天然資源の消費を抑えつつ、廃棄物の削減に貢献できる点が特徴です。再生ポリエステル繊維やアップサイクル素材などが代表例としてあります。
●再生ポリエステル繊維
再生ポリエステル繊維とは、使用済みのペットボトルや廃棄された繊維製品などを原料として再生されたものを指します。廃棄物の削減や天然資源の使用抑制につながる点が、大きな特徴です。
●アップサイクル素材
アップサイクル素材とは、廃棄されるはずだった不要品や廃材などにアイデアや加工を加えることで、新たな価値や機能を持たせて再利用される素材です。基本的には、素材そのままの特徴や質感を生かして再活用されます。
例えば、古着のデニムを使用したバッグや廃木材を利用した家具があるなど、近年注目を集めています。
製造工程で環境に配慮した素材
製造工程における環境汚染に配慮された素材です。具体的には、無水染色を採用した素材などがあります。
●無水染色加工の素材
従来の繊維の染色工程では、大量の水を使用するため、排水処理によって水質汚染などが引き起こされていました。そこで、水を使わずに染色する方法として注目を集めたのが無水染色技術です。
無水染色では、水の代わりに超臨界流体状態(※)の二酸化炭素を使用して、染料を繊維に染み込ませます。無水染色素材は、廃水による水質汚染の防止に大きく貢献するサステナブル素材なのです。
※超臨界流体状態:ある物質が特定の温度と圧力を超えた時に、液体と気体の両方の性質を合わせ持つ特殊な状態のこと。
人権や動物に配慮した素材
サステナブル素材には、社会的な問題に目を向けた素材も含まれます。例えば、フェアトレード素材やアニマルフリー素材などです。
●フェアトレード素材
フェアトレードとは、「公正な取引」を意味する考え方です。代表的なものにコットンや天然ゴムがあり、児童労働や強制労働に関与せず、適正な価格で継続的に取引するという、生産者の暮らしや人権を守る仕組みのもとで生産されています。
●アニマルフリー素材
動物の扱いに配慮する「アニマルウェルフェア」の考え方にもとづいて製造されたもので、動物性の原料を使わず、動物実験なども行っていない素材を指します。
サステナブル素材を活用した商品の選び方
サステナブル素材を活用した商品を選ぶ際に重要なのは、「製品のライフサイクル全体でサステナブルかどうか」という視点です。
一見サステナブルに見えても、製造や輸送、廃棄の段階で環境に大きな負荷をかけている場合があります。商品の一部分だけを見て判断せず、総合的にサステナブルと言えるかを見極めることが重要です。
また、どのように生産されたか、環境や社会にどのような影響を与えているか、といった点を確認した上で商品を選びましょう。商品の背後にあるストーリーや価値観に目を向けることも重要で、こうした情報は企業のWebサイトや認証ラベルなどを通じて確認できます。
例えば、オーガニック素材には「OCS認証」や「GOTS認証」などの国際的な認証基準が設けられており、アニマルフリー素材には、クルエルティフリーの認証制度である「リーピングバニー」や、動物性の原料の不使用を示す「ヴィ―ガン認証」などがあります。
実際にサステナブル素材を使った商品は、身近なところでも見つけられます。例えば、LOHACOやASKULでは、リサイクル素材やフェアトレード素材を活用した日常的に取り入れやすい商品を取り扱っています。
身近な買い物からサステナブルな選択を始めたい方は、ぜひLOHACOやASKULのサイトでチェックしてみてくださいね。
「オーガニックコットン タオル」の商品一覧
「Matakul」の商品一覧
生活にサステナブル素材を取り入れてみよう
サステナブル素材が用いられた商品を選択することは、消費者が持続可能な社会の実現に向けて実践できるアクションの一つです。サステナブル素材の種類や特徴はさまざまなので、きっと自分に合う選択肢が見つかるはずです。
商品を手に取る時は「本当にサステナブルなのかな」「背景にはどんなストーリーがあるんだろう」と考えることも大切です。日々の暮らしのなかで、少しずつサステナブルな選択をしてみましょう。