この記事の目次
気候変動の原因は?わかりやすく解説

まず、気候変動とはどのようなもので、なぜ起きてしまうのかについて解説します。
気候変動とは
気候変動とは、地球の気温や降水量などの気候パターンが変化することを指します。近年では、夏の猛暑やゲリラ豪雨など、気候変動による変化を肌で感じることも増えました。
気候変動は、人間の活動による「人為的要因」と自然の変化による「自然的要因」に分かれます。特に前者は、人間の活動によって防ぐことができるため、対策が求められています。
気候変動の主要因は温室効果ガス
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によれば、気候変動の主要因は二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスだとされています。具体的には、1850~1900年と2010~2019年の昇温を比較した際に、二酸化炭素が約0.8℃、メタンが0.5℃寄与しているという調査結果があります。つまり、気候変動を防ぐためには、温室効果ガスの排出を減らしていく必要があるのです。
※参考:気象庁「IPCC 第6次評価報告書 統合報告書」
温室効果ガスが排出される要因は?
気候変動の原因となる温室効果ガスは、何が原因で排出されてしまうのでしょうか。ここでは、国連の情報を基に温室効果ガスの排出原因を解説します。
化石燃料による発電
石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料を燃やして電気を作る方法は、多くの二酸化炭素を排出します。特に石炭火力発電は、二酸化炭素の排出量が多く、地球温暖化の大きな原因に。太陽光や風力などの再生可能エネルギーに切り替えることで、こうした排出を減らすことができます。
製品の製造
セメントや鉄鋼、プラスチック、電子機器などを作る際は、燃料を使って高温加熱を行ったり、化学反応を起こしたりします。その過程で、二酸化炭素などの温室効果ガスが排出されているのです。
そのため、製造方法を見直したり、環境にやさしい素材を使ったりすることで、温室効果ガスの排出を減らす工夫が進められています。
森林伐採
森は空気中の二酸化炭素を吸って、木の中に貯蔵する働きがあります。農地や住宅地を広げるために森林破壊を行ってしまうと、貯蔵された二酸化炭素が空気中に戻ってしまいます。森を守ることは、気候変動を防ぐ上で非常に大切なのです。
交通機関の利用
車や飛行機、船などは、ガソリンや軽油などの燃料を使って動きます。これらの利用もまた、温室効果ガスの発生原因となります。電気自動車や公共交通の利用を増やすことで、排出を減らすことができます。
食糧生産
牛などの家畜は、食べ物を消化する時にメタンという強い温室効果ガスを出します。また、肥料の製造や農業機械の利用によっても、温室効果ガスが排出されます。そのため、環境に配慮した農業や食べ物の選び方を見直すことが、気候変動の対策につながるのです。
※参考:国際連合広報センター「気候変動の原因」
気候変動による影響は?

では、気候変動によって、私たちの暮らしにはどんな悪影響があるのでしょうか。ここでは、気象庁の情報を基に、気候変動で地球環境にどんな影響が起きているのかを解説します。
※参考:気象庁「日本の気候変動2025」
気温の上昇
気候変動によって、地球の平均気温は上昇しています。WMO(世界気象機関)の報告によると、2024年の世界の平均気温は産業革命前(1850〜1900年平均)と比べて約1.5℃高い水準となりました。特に日本は世界平均よりも気温上昇が大きく、年平均気温の上昇に加えて、真夏日・猛暑日・熱帯夜の日数が増加しています。
海水面の上昇
気候変動により温度が上昇することで、海水の熱膨張と氷河の融解が発生します。これにより、海水面が上昇してしまいます。実際に、1901年から2018年の間に、海面水位は世界平均で0.20m上昇。ツバルのように、海抜が低い国では多くの土地が浸水するなど、深刻な影響が起きているのです。
さらに、沿岸の藻場は水温上昇や海洋環境の変化によって減少しており、魚介類の生息環境や生態系に悪影響を及ぼしています。加えて、温暖化の影響で本来その地域では少なかった食害魚が増え、漁獲できる魚の種類や量にも変化が生じています。
海洋酸性化
二酸化炭素が海洋に吸収されることで、海水が酸性化するという問題もあります。これによって、1990年代以降は10年当たりおよそpH0.02の速度で海水の酸性化が進行。
酸性化が進むと、サンゴなどの生物が育たない環境となってしまいます。サンゴは海の生態系の基盤となっているため、サンゴの死滅によって生態系が変化する恐れもあります。
気候変動を抑えるために私たちにできることは?

私たちの暮らしに大きな影響を及ぼす気候変動を防ぐためには、私たち一人ひとりの取り組みが肝心です。ここからは、気候変動を抑えるために個人ができることをご紹介します。
公共交通機関を利用する
移動する際は、電車やバスなどの公共交通機関を積極的に利用しましょう。自家用車と比べて公共交通機関は多くの乗客を運べるため、結果として温室効果ガスの発生削減につながります。
また、短い距離であれば、自転車や徒歩などで移動するのもおすすめです。
3Rに取り組む
リデュース・リユース・リサイクルを通して資源を有効活用することもまた、気候変動を抑えるために効果的です。ムダな買い物をしない、まだ使える中古品を利用する、ごみの分別を適切に行うといった、小さな取り組みにも意味があります。
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3Rとは?リデュース・リユース・リサイクルの意味と今日からできること
エシカル消費を意識する
社会や環境などのさまざまな側面に配慮したり、課題に取り組んだりしている企業の商品・サービスを選択する「エシカル消費」を意識してみましょう。
特に、気候変動対策に取り組む企業を応援することは、間接的に気候変動を抑えることにつながります。ふだん利用している商品・サービスを提供している企業など、気になる企業のWebサイトで、サステナビリティに関する取り組みをチェックしてみてください。
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エシカル消費とは?環境・社会のためにできるアクションを実践しよう!
気候変動の原因に関するQ&Aまとめ
最後に、気候変動の原因について、本記事で紹介した内容をQ&A形式でおさらいします。
Q. 気候変動の最大の原因は何ですか?
A. 主な原因は、二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスです。特に二酸化炭素は、1850~1900年と2010~2019年を比べると、約0.8℃の昇温の原因となっています(IPCC 第6次評価報告書より)。
Q. 温室効果ガスは、どのように排出されますか?
A. 化石燃料による発電や製造業、森林伐採、交通機関の利用、畜産を含む食糧生産などが主な排出源です。
Q. 気候変動が進むと、どのような影響がありますか?
A. 気温上昇、海面上昇、海洋酸性化などが進み、猛暑日の増加、低地の浸水、生態系の変化など深刻な影響をもたらします。
Q. 私たちが日常生活でできる対策はありますか?
A. 公共交通機関の利用、3R(リデュース・リユース・リサイクル)の実践、エシカル消費など、小さな行動の積み重ねが温室効果ガスの削減につながります。
私たち一人ひとりの意識と取り組みで、気候変動を抑止しよう
気候変動によって、地球環境は日々変わりつつあり、これまでの当たり前だった暮らしにも大きな影響が及んでいます。こうした変化を止めるためには、私たちの意識を変えていかなければなりません。
「自動車の利用を控えてみる」「商品を選ぶ際に環境を意識してみる」といった、ちょっとしたことから始めてみませんか?