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再生可能エネルギーとは?

再生可能エネルギーは、太陽光や風力、地熱、バイオマスなど、自然界に存在する資源を利用したエネルギー源のことを指します。枯渇することなく、繰り返し得られる持続性の高さが特徴です。
再生可能エネルギーの特徴とメリット
再生可能エネルギーは、枯渇する心配がないため、持続可能な世界を実現する上で重要なエネルギー源といえます。そのため、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて、従来の化石燃料から再生可能エネルギーへの転換が求められています。
また、石油などの資源の輸入に頼る日本では、自国で生産できるエネルギー源としても有望です。石油をはじめとした化石燃料は、各国の政治事情や戦争などの影響で、安定供給が難しくなるリスクがあります。自国で生産できる再生可能エネルギーは、このようなリスクが低く、安全保障の観点でも価値があるのです。
再生可能エネルギーが注目される背景
再生可能エネルギーは、温室効果ガスである二酸化炭素をほとんど発生させません。そのため、温暖化が進む地球環境を守るための有望な手段としても、世界的に注目されています。
現に、世界的に再生可能エネルギーの活用が進んでおり、日本でも太陽光発電の固定買取制度(FIT制度)などを通して普及が進んでいます。電力発電においては、2022年時点で日本全体の約21.9%を再生可能エネルギーが占めています。
※参考:資源エネルギー庁「日本のエネルギー 2024年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」
再生可能エネルギーにはどんな種類があるの?

再生可能エネルギーには、太陽光や風力、水力、地熱、バイオマスなど、多種多様な種類が存在します。以下では、主な再生可能エネルギーの種類をご紹介します。
太陽光発電
太陽光発電は、シリコン半導体に光が当たると電気が発生する仕組みを利用して発電する方法です。世界的に普及しており、日本でも屋根に太陽光パネルが設置されている家を見る機会が増えました。
さらに近年は、薄くて軽く、曲げやすい「ペロブスカイト太陽電池」の研究や実用化も進んでおり、従来は設置が難しかった建物の窓や壁などへの設置が期待されています。
- 特徴:比較的多様な場所に設置でき、住宅用であれば送電設備は不要
- 課題:気候条件によって発電量が左右されるため、安定供給が難しい
風力発電
風の力で羽を回し、そのエネルギーを電気へと変換する発電方法です。海が多い日本では、海の上に風車を設置する「洋上風力発電」にも注目が集まっており、多くの開発プロジェクトが進行しています。
- 特徴:陸上だけでなく、海洋にも設置できる
- 課題:太陽光と同様に、気候条件により発電量が左右される
水力発電
ダムや河川の流水などを利用し、水の力を電力に変換する発電方法です。日本では古くから利用されている発電方法で、近年ではダムを利用した大規模な発電だけでなく、中小規模の発電施設の開発も進んでいます。
- 特徴:安定供給が可能であり、特に日本では導入実績も多い
- 課題:河川地域など、立地が限定される
地熱発電
火山の熱エネルギーを利用して発電を行う方法です。火山帯に位置する日本では、地熱を利用できる箇所が多く存在するため、古くから開発が進んできました。ただし、立地制約もあるため、開発は限定的です。
- 特徴:発電するだけでなく、発電に利用した廃熱を暖房などに再利用できる
- 課題:熱エネルギーを得られる場所に立地が限定される
バイオマス発電
バイオマス発電は、動植物から生まれた資源を利用して発電する技術の総称で、例えば廃材や家畜の排せつ物、もみ殻などを利用して発電する方法です。
- 特徴:廃棄物を燃料にできるため、資源の効率利用を実現できる
- 課題:特に大規模発電では、木質ペレットなどの輸入に大きく依存しており、海外の供給状況や価格変動の影響を受けやすいため、安定的な調達が難しい
その他の再生可能エネルギー
太陽熱や氷雪などの冷熱を利用する、その他の方法についてもご紹介します。
太陽熱利用
太陽の熱エネルギーを集熱器に集めて水や空気を温め、そのまま給湯や冷暖房などに活用する方法です。
- 特徴:システム構造が簡単で、容易に導入できる
- 課題:初期コストがかかり、また天候にも左右される
氷雪熱利用
冬の時期の雪や氷を保管して、夏の暑い時期に建物の冷房や農作物の冷蔵に利用する方法です。
- 特徴:電気を用いた冷房と比較して低コスト
- 課題:雪や氷の保管場所が必要
温度差熱利用
地下水や河川などの水と、空気との温度差を利用する方法です。水と空気の温度差を熱交換器とヒートポンプで増幅して、冷暖房や給湯に使える温度レベルにまで変化させます。
- 特徴:水源があれば利用できるため、都市部での活用が可能
- 課題:設備のためのコストが高額
地中熱利用
地下10~15m程度の熱を冷暖房に利用する方法です。地面の中は一年中ほぼ同じ温度なので、その安定した熱を配管やヒートポンプで取り入れて、室内を冷やしたり温めたりします。
- 特徴:外気温に関わらず利用でき、野外に熱を放出しないため、ヒートアイランド現象の原因となりにくい
- 課題:温度差熱利用と同様に、設備のためのコストが高額
再生可能エネルギーを取り入れるには?

ここからは、実際にどうすれば再生可能エネルギーを仕事や生活の中で利用できるのか、企業と個人のそれぞれの観点からご紹介します。
企業の場合
企業が再生可能エネルギーを取り入れる際は、まず自社の電力使用量やピーク需要を把握することから始めましょう。その上で、次のような取り組みが考えられます。
自家発電型
自社施設に太陽光パネルや小型風力発電を設置し、使用電力の一部を賄う。補助金制度を活用することで、初期投資の負担は軽減できます。
調達型
再エネ由来の電力を契約したり、PPA(電力購入契約)を活用して設備投資ゼロで導入する方法もあります。
証書活用型
グリーン電力証書や非化石証書を活用し、再エネ利用を見える化することも可能です。
さらに、自社が利用するエネルギーを100%再生可能エネルギーとすることを目標に置く、国際的な「RE100」イニシアティブなどもあり、企業の再生可能エネルギーの活用が進んでいます。
▼アスクルの「RE100」の取り組みはこちら
「サステナビリティ報告(気候変動・脱炭素)」
個人の場合
個人でも、日常生活の中で再生可能エネルギーを選ぶことができます。例えば、以下のような方法があります。
- 電力会社のプランで再エネ比率の高いものを選ぶ
- 自宅に太陽光パネルを設置する
- 太陽光パネルで発電した電力を蓄積するための蓄電池を用意して、災害時のバックアップとしても活用する
- 再生可能エネルギーを利用して製造された製品やサービスを選択する
特に、太陽光パネルの設置や太陽光パネルで発電した電力を蓄積するための蓄電池の設置には、国や自治体によって補助金が出る可能性があります。お住まいの地域の補助金制度をぜひ調べてみてください。
「ポータブル電源」の商品一覧(LOHACO)
「ソーラーパネル」の商品一覧(LOHACO)
再生可能エネルギーの種類に関するQ&Aまとめ
最後に、再生可能エネルギーについて、本記事で紹介した内容をQ&A形式でおさらいします。
Q.再生可能エネルギーとは何ですか?
A.太陽光や風力、地熱、水力など、自然界に存在する枯渇しないエネルギーのことです。化石燃料と異なり、持続的に利用でき、温室効果ガスをほとんど排出しません。
Q.再生可能エネルギーにはどのような種類がありますか?
A.代表的なものは太陽光発電、風力発電、バイオマス発電、水力発電、地熱発電です。他にも太陽熱利用、氷雪熱利用、温度差熱利用、地中熱利用などがあります。
Q.再生可能エネルギーに共通する課題は何ですか?
A.気象条件や立地によって発電量が変動することや、初期コスト・設備費が高額になることです。また、大規模化や安定供給には技術的な課題も残っています。
Q.再生可能エネルギーの活用はなぜ重要なのですか?
A.地球温暖化の原因となる二酸化炭素排出を抑えられるため、気候変動対策として有効です。エネルギー自給率の向上や、輸入資源への依存の低減にもつながります。
再生可能エネルギーを取り入れて、持続可能な世界の実現に貢献しよう
持続可能なエネルギー源である再生可能エネルギーを普及させることは、サステナブルな世界を実現するためのカギとなります。
再生可能エネルギーを利用して発電を行っている電力会社の利用や、再生可能エネルギーを活用して商品を製造している企業の応援など、小さなことからでも私たちにできる取り組みはあります。
ぜひ、再生可能エネルギーを普段の生活に取り入れてみてください。