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応援消費とは?

応援消費とは、「頑張ってほしい」「力になりたい」といった支援や応援の気持ちを込めて行う消費行動です。「エール消費」とも呼ばれます。
この言葉が広く使われるようになったきっかけは、2011年の東日本大震災です。現在は被災地にとどまらず、特定の地域や店舗、企業、アーティストなど、応援対象が多岐にわたっています。また、単に商品を購入するだけでなく、特定の地域に足を運んで観光を楽しむことや、クラウドファンディングに協力することなども応援消費の一つです。
似ている概念として、「バイコット」があります。バイコットとは、不買運動などを意味する「ボイコット」と対の概念で、特定の企業の製品を買って応援することを指します。応援としての側面だけでなく、企業の方針に賛同する意味合いが強いのが特徴です。
応援消費が注目されている理由
応援消費は、2011年の東日本大震災をきっかけに、経済活動を通じた被災地支援の形として広まりました。被災地の特産品を購入して、復興を応援するという発想です。
そして2020年以降、応援消費はコロナ禍で再び関心を集めました。感染拡大防止に伴う営業制限や外出自粛の影響で、集客できずに困っている店舗や施設、アーティストを応援する手段として注目されたのです。
また、芸能人やスポーツ選手、アニメキャラクターなどを応援する「推し活」が広がりを見せるなかで、応援消費はよりなじみ深いものとなっています。
応援消費の種類

応援対象や実践する方法においてさまざまな形で広がりを見せている応援消費は、以下の3種類に分類できます。
- 地域支援型
- 社会貢献型
- 推し活型
具体的な例とともに、それぞれの特徴をご紹介します。
地域支援型
地域支援型の応援消費は、被災地や経済的な支援が必要な地域を対象とした取り組みです。2011年の東日本大震災をきっかけに、被災地の特産品を購入して復興を後押しする動きとして広まりました。
現在では、地域ブランドの商品を買う、地元食材を使った飲食店を利用する、観光によって地域経済を活性化させるなど、さまざまな方法が浸透しています。また、ふるさと納税なども地域の事業者を支援する応援消費の一つです。
社会貢献型
社会貢献型の応援消費は、社会課題の解決につながる商品やサービスを購入し、事業者を支援する消費行動です。つまり、「エシカル消費」に近いといえます。
社会貢献型の応援消費を実践することで、間接的に環境問題や社会問題などの解決に貢献できる点が特徴です。
例えば、環境にやさしい商品や、発展途上国の生産者を支援するフェアトレードの商品、売上の一部が寄付される寄付金つき商品の購入などが当てはまります。
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推し活型
推し活型の応援消費は、好きや共感の感情を原動力に応援する消費行動です。いわゆる「推し活」と呼ばれ、アーティストやアイドル、俳優、スポーツ選手、アニメキャラクターなどが対象です。
CDやDVD、公式グッズの購入、ライブやイベントへの参加、SNSでの発信、オンライン配信での投げ銭など、多様な形があります。
推し活型応援消費は単なる消費ではなく、「好きな存在を支えたい」という思いの表現であり、ファン同士のつながりやコミュニティの形成にもつながっています。
応援消費の特徴

応援消費には、主に次のような特徴があります。
「イミ消費」である
応援消費は、「イミ消費」である点が特徴的です。ここでいうイミ(意味)消費 とは、外食マーケティングのスペシャリストである竹田クニ氏が紹介した概念で、商品・サービスの持つ機能や効能だけでなく、その背景にある社会的・文化的な“意味”に共感して選択するという消費行動を指します。
応援の気持ちを重視して商品やサービスを選ぶ応援消費は、商品自体を重視する「モノ消費」でも、得られる経験を重視する「コト消費」でもなく、まさしくイミ消費だといえます。
満足度・継続性が高い
応援消費は、満足度や継続性が高くなりやすいという特徴もあります。応援消費を通して、「誰かの助けになることができた」という充実感を得られるためです。
また、消費行動を通じて応援対象との間接的な関係性が生まれることも、継続的に支援するモチベーションにつながります。
SNSで話題になりやすい
SNSとの親和性が高い点もポイントです。応援対象への共感が、「応援したい」という気持ちを生むため、想いをシェアしやすいSNSでの情報拡散は、応援の輪を広げることにつながります。
応援消費を実践する3つのポイント

実際に応援消費を実践する上で、意識したいポイントを3つご紹介します。
応援対象をよく理解する
応援消費は、応援対象をよく調べてから実践しましょう。商品やサービス、プロジェクトの目的、方針、応援対象の活動内容などを理解するところから始めてみてください。
事前にリサーチすることで、「応援したい」という気持ちが強まるだけでなく、納得感を持って消費行動を行えるため、満足度や継続のモチベーションを高めることにもつながります。
自分の応援がどう届くかを確かめる
応援消費は、自分の支援がどのように活かされているかを意識することが大切です。購入した商品・サービスの売上や寄付したお金が誰の手に届き、どのような形で役に立っているかを理解しておくと、安心して支援できます。
お金の利用先に関する情報の透明性が低い場合、第三者に利益が搾取されていたり、実際には支援に繋がっていなかったりする可能性もあります。支援の流れを把握できる、信頼性の高い応援対象を選ぶようにしましょう。
無理のない応援を心がける
応援消費は、無理をしてしまうと長続きしません。継続的な支援は良い関係の構築に繋がりますが、応援の気持ちが義務感やプレッシャーに変わると、負担になってしまうこともあります。
応援消費を継続していくためには、自分の生活や気持ちに無理のないペースを見つけることが大切です。支援は月に一度にする、SNSでの情報拡散には力を入れるなど、自分なりの応援方法を模索してみましょう。
応援消費に関するQ&Aまとめ
Q.応援消費とは、どういう意味ですか?
A.支援や応援の意味を込めて行う消費活動のこと。応援の対象は、被災地などの特定の地域や企業、アーティストなど多岐にわたります。商品の購入だけでなく、観光のために足を運ぶことやクラウドファンディングなどの金銭的な支援も当てはまります。
Q.応援消費には、どのような種類がありますか?
A.地域を応援する消費行動、社会課題に取り組む事業者を応援する消費行動、「推し」を応援する消費行動が代表的です。
Q.被災地への応援消費とは何ですか?
A.災害で被害を受けた地域を支えるための消費行動のこと。具体的には、被災地の特産品を購入する、観光のために現地を訪れる、ふるさと納税の納税先に選ぶといった方法があります。
消費行動で応援の気持ちを形にしよう
「応援したい」「力になりたい」という気持ちを、日常の消費行動の形に変えることが、「応援消費」です。誰かのためになるだけでなく、自分自身の満足感にもつながる点が応援消費の魅力といえます。
「なぜ・どういう形で応援したいのか」「応援したらどうなるのか」を考えながら、自分のペースを大切に、納得感を持って心から応援できる形で実践してみましょう。
