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BPAフリーとは?

「BPAフリー」とは、BPA(ビスフェノールA)という化学物質を使っていない、または含まれていないことを意味します。
このBPAは、プラスチック製品を作るときに使われることがある化学物質で、例えばプラスチック製の食器や水筒、保存容器、塗料や接着剤などの素材の原料として利用されています。
こうした製品を作る過程では、ごく少量のBPAが残る可能性があるといわれています。そのため、健康への影響を気にする人を中心に、BPAを使わない「BPAフリー」の製品を選ぶ動きが広がっているのです。
BPAの懸念点
BPAは、ポリカーボネート製の食器やエポキシ樹脂によって塗装された缶などを通じて、飲食物に移り、それを摂取することで体内に取り込まれる場合があります。BPAフリーが注目されているのは、BPAが体内に取り込まれた際に「環境ホルモン」としてホルモンの働きを乱すことで、健康への悪影響が懸念されているためです。
BPAはさまざまな毒性試験が行われており、規格基準も定められていますが、1997年頃から内分泌器官への悪影響が指摘され始めました。動物実験では、BPAを摂取した母親から生まれた子どもに性周期の乱れなどが見られたことが報告されています。
人間への影響については未解明な部分が多いものの、特に影響が懸念されているのは、代謝能力が低く、内分泌系や中枢神経系、免疫系の器官が未発達である胎児や乳幼児です。
また、「BPS(ビスフェノールS)」や「BPF(ビスフェノールF)」といった、その他のビスフェノール類についても、人体への悪影響が指摘されています。
BPAフリーに対する世界や日本の取り組みは?

各国では、BPAやその他のビスフェノール類による健康リスクを低減するため、さまざまな取り組みが進められています。欧州諸国、欧米諸国、日本の取り組みをそれぞれご紹介します。
欧州諸国の取り組み
EUでは2024年、BPAやその他のビスフェノール類を「食品接触材料」に使用することを禁止しました。
食品接触材料とは、食品と触れることを前提につくられたものやすでに食品に触れているもの、触れる可能性があるものを指します。食器や包装だけでなく、食品を輸送する容器、食品を加工するための機械なども対象です。
「BPAを含む容器を使用した製品の販売は、2026年7月20日まで」などと、規制には経過措置が設けられていますが、フランスでは2015年1月からすでに規制が発動しています。
イギリスでは、EU離脱前の規則を適用して、乳幼児向けの食品に触れる包装や容器におけるBPAの使用を禁止しています。2025年10月から、その他の食品接触材料におけるBPAの規制について意見公募を開始して、さらなる規制の強化に取りかかっている状況です。
北米の取り組み
アメリカでは、2016年からカリフォルニア州でBPAの規制が行われています。全州での対応は実施されていませんが、消費者団体などから規制を求める声は上がっています。
カリフォルニア州では、果物、野菜、スープ、ミルク、ソーダ、アルコール飲料などの缶入り・瓶入りの飲食物の容器やふたからBPAが検出される場合、警告表示をするよう義務付けられました。小売業者もレジなどの販売場所に警告サインを設置することが定められています。
また、カナダでは乳児に対する懸念に対応するため、BPAを含むポリカーボネート製の哺乳瓶の製造、輸入、宣伝、販売を禁止しています。
日本の取り組み
日本では、BPAやその他のビスフェノール類の使用を禁止する規制は設けられていません。
これまでに実施された毒性試験の結果を踏まえ、ポリカーボネート製の器具や包装、容器から溶け出すBPAの量については、食品衛生法により「2.5μg/ml(2.5ppm)以下」という基準が定められています。
一方、欧州や欧米でBPA規制が強まっている現状を受けて、輸出先のBPA規制を確認する対応を事業者に呼びかけています。
※参考:厚生労働省「ビスフェノールAについてのQ&A」
国税庁「ビスフェノールA」
BPAフリーには、どんな製品があるの?

BPAフリーの製品には、例えば以下のようなものがあります。
- 水筒
- 保存容器
- 食器
- お弁当箱
- カトラリー
- ベビー用品
直接食材や口に触れる食器、カトラリー類はもちろん、乳幼児が口に入れることがあるおもちゃなどもBPAフリーの製品を選ぶとより良いでしょう。
BPAフリー製品の見分け方
BPAを含まない製品には、「BPAフリー」と明記されている場合が多いです。表示は義務化されていないものの、購入の際はパッケージや商品説明を確認することで、一つの判断材料となります。
ただし、BPAの代替成分として使用される「BPS(ビスフェノールS)」や「BPF(ビスフェノールF)」などにも注意しましょう。これらの成分も人体への悪影響が指摘されており、BPAを含まない一方で、BPSやBPFを使用している製品が「BPAフリー」と表記されているケースもあります。
BPAフリーを謳う製品が必ずしも安全とは限らないことから、そもそもプラスチック製品の使用を減らすことが、BPAやその他のビスフェノール類を体内に取り入れるリスクを避けるための近道といえます。
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BPAフリーに関するQ&Aまとめ
Q.BPAフリーとは、どういう意味ですか?
A.「BPA(ビスフェノールA)」という化学物質が含まれていない状態のこと。BPAフリーの製品を選ぶことで、環境ホルモンとして人体への悪影響が懸念されているBPAを体内に取り込むことを避けることができます。
Q.BPAフリーについて、世界ではどのような規制がされていますか?
A.EUでは、BPAやその他のビスフェノール類、ビスフェノール誘導体を「食品接触材料」に使用することを禁止しており、同様の対応がイギリスでも進められています。アメリカでは、カリフォルニア州でBPAを含む製品への警告表示が義務付けられており、カナダではBPAを含むポリカーボネート製の哺乳瓶の製造、輸入、宣伝、販売を禁止しています。
Q.BPAフリーの製品には、どのようなものがありますか?
A.水筒や保存容器、食器、カトラリーなどがあります。乳児が口にするベビー用品についても、BPAフリーの製品が多くあります。
Q.BPAフリー製品の見分け方はありますか?
A.BPAが含まれていない製品には、BPAフリーの表記がされているものが多いです。ただし、人体への影響が懸念されているBPSやBPFといった代替成分が含まれている可能性があるため、安全性については都度確認が必要です。
BPAフリーを正しく理解して、安心できる選択をしよう
水筒・保存容器などの製品や乳幼児が口に入れる製品などで、より安全性の高いものを選びたい場合に、BPAフリーは一つの判断材料となります。
ただし、BPAフリーと表記される製品が必ずしも安全とは限りません。BPA以外のビスフェノール類など、どのような化学物質でどのような悪影響が懸念されているのかを正しく理解した上で、自身がより安心できる選択をしましょう。
