「水の日・水の週間」とは?8月1日は何の日?

8月1日は「水の日」、そして8月1日から7日までは「水の週間」と定められています。今回は、その制定の背景や日本と世界における水資源の現状、水資源を守るために私たちにできることについて解説します。

これを機に、ふだん何気なく利用している、限りある水資源の重要性について考えてみてはどうでしょうか。

水の日・水の週間とは?

水の日、水の週間

水の日は、私たちの暮らしに欠かせない水について考え、理解を深めるために制定された日です。1977年に国によって定められ、2014年(平成26年)の「水循環基本法」で法律上も位置づけられました。併せて8月1日から7日までが水の週間とされています。

8月上旬は年間を通じて水の使用量が多く、水への関心が高まる時期であることから、水の日・水の週間となったのです。

水の日・水の週間が制定された理由

水循環基本法第10条では、「国民の間に広く健全な水循環の重要性についての理解と関心を深めるようにするため、水の日を設ける」とされています(※)。

日本では、水は非常に身近なものである一方で、安全な水資源を確保・管理するためのダムや上下水道の開発は簡単ではなく、多くの努力が必要です。水の貴重さを理解し、適正な利用をしていくために、水の日・水の週間は定められました。

※引用:内閣官房水循環政策本部事務局「水循環基本法

世界水の日とは?

世界規模では、3月22日が「世界水の日(World Water Day)」とされています。世界水の日は、1992年に開催された環境と開発に関する国連会議(地球サミット)の内容に基づいて、1993年に採択されました。

日本で暮らしていると気づきにくいですが、水不足に悩まされている国は多く、経済発展と共に水不足は深刻化しています。そのため、国連は加盟各国に対して、世界水の日に活動を企画するよう推奨しているのです。

持続可能な開発目標であるSDGsでも、目標6として「すべての人々に水と衛生へのアクセスを確保する」(※)と掲げられており、各国の取り組みが求められています。

※引用:国際連合広報センター「SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは? 17の目標ごとの説明、事実と数字:目標6

水資源の現状と課題

水の日、水の週間

日本における水の使用量は減少傾向にある一方で、世界の多くの国に比べて水資源に恵まれた日本でも、実は「バーチャルウォーター」と呼ばれる問題が指摘されています。

日本における水資源の利用状況

国土交通省によれば、2020年における全国の水の使用量は、合計で約797億㎥/年とされています。用途別に内訳を見ると、生活用水や工業用水が含まれる「都市用水」が約265億㎥/年、「農業用水」が約532億㎥/年となっています(※)。

日本の水の使用量は、1993年の889億㎥/年をピークに減少傾向にあります。これは、節水をはじめとした水の適正利用が進んだ結果によるものです。

※参考:国土交通省「令和6年版 日本の水資源の現況

日本は水資源の輸入国?「バーチャルウォーター」とは

日本は水資源が豊かであるという認識を持たれている方が多いと思いますが、実は「バーチャルウォーター」を含めると、日本は水資源の輸入国であるということをご存じでしょうか。

バーチャルウォーターとは、食料を輸入している国において、その輸入した食料を自国で生産した場合に、どの程度の水が必要かを推定したものです(※)。輸入元の国々では、水を利用して食料を生産しており、例えば1kgのトウモロコシを生産するには、灌漑用水として1,800Lの水が必要です。

日本は多くの食料を輸入しており、環境省によれば、2005年に海外から日本に輸入された食料のバーチャルウォーター量は、約800億㎥/年とされています。これは、日本で利用されている全ての水と同程度の量なのです。

※参考:環境省「よく分かる!バーチャルウォーターについて

世界の水資源の現状

地球上には多くの水がありますが、そのうち約97.47%が海水であり、そのままでは利用できません。さらに、残りの1.76%は氷河であり、0.76%は地下水です。人間が利用できる水は、そこから差し引いた0.01%であり、ごくわずかなのです(※)。

※参考:国土交通省「世界の水資源

安全な水を確保するという観点でも、課題があります。ユニセフによれば、2022年時点で22億人が安全に管理された飲み水を利用できていないとされています(※)。このことからも、私たちは限りある水資源を大切に利用する必要があるのです。

※参考:ユニセフ「安全な水

水資源を守る企業の取り組み例

水の日、水の週間

こうした現状を踏まえて、さまざまな企業が水資源を守る取り組みを進めています。ここでは、一部の企業の例をご紹介します。

サントリーグループの「水理念」

大手飲料メーカーであるサントリーでは、2017年に「水理念」として「1.水循環を知る」「2.大切に使う」「3.水源を守る」「4.地域社会と共に取組む」という4つの方針を定めました。同社では、この理念に基づいて水のサステナビリティ実現を進めています。

具体的には、森の保水力を高める水源涵養機能の向上と、森の多様な動植物の生息環境を整える生物多様性の再生を目的とした「サントリー 天然水の森」の整備・拡大を推進。また、水の啓発プログラムである「水育」といった活動を通して、水の持続的な利用に貢献しています。

※参考:サントリーホールディングス株式会社「サントリーグループのサステナビリティ 水資源

アスクルの「森と水を育む活動」

アスクルとグループ会社である嬬恋銘水では、嬬恋村で取水した地下水をミネラルウォーターとして製造・販売している背景から、群馬県嬬恋村の森林整備活動に参加しています。

2023年8月にアスクルと嬬恋銘水、嬬恋村の3者で「森林整備連携協定」を締結し、森林整備活動である「嬬恋グリーンプロジェクト」を推進しています。

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水資源を守るために、私たちにできることは?

水の日、水の週間

では、水資源を守るために、消費者はどうすれば良いのでしょうか。ここからは、具体的な取り組み例をご紹介します。

節水意識を持つ

すぐにできる対策として、水道水の出しっぱなしをやめてこまめに栓を止める、トイレの流水の大・小を使い分けるなどがあります。日々の生活の中で節水意識を持つだけで、水の使用量を減らすことができます。

汚れた水を捨てない

排水処理施設では、処理できないか、施設の性能を落とすような汚水を河川や海に流してしまうことも問題です。代表的なものとしては、油や薬品などがあります。そのため、普段の生活のなかで汚水をできるだけ発生させない、油などはシンクにそのまま流さないことを意識しましょう。

水資源を意識した商品を選ぶ

買い物の際は、水資源を意識した商品を選んでみましょう。水資源の適正利用に力を入れている食品メーカーや飲料メーカーは、多く存在します。

森林整備や地下水への還元、河川環境の保全など、水循環に関する取り組みを積極的に推進している企業もあるため、気になる企業の活動にも注目してみてください。

水の日・水の週間を機に、水資源をムダなく利用する意識を持とう

ふだん何気なく利用している水ですが、実は水を不自由なく利用できる環境は希少です。まずは世界や日本の現状を知り、水資源は限りあるものだと再認識しましょう。

その上で、水を使うシーンでは節水や排水の仕方に意識を向けたり、水を使った商品を選ぶ際には、その商品が生まれた背景や企業の取り組みにも注目したりしてみてください。そうした意識や行動の積み重ねが、水資源を守ることにもつながります。

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