コーヒー2050年問題とは?原因や影響と企業の取り組み、個人にできることを解説

私たちの生活に身近な存在であるコーヒーですが、将来そのコーヒーが今のようには飲めなくなってしまうかもしれない危機が迫っているのをご存じですか? この危機は「コーヒー2050年問題」と呼ばれ、コーヒーの栽培環境の変化による供給量の減少や生産者の生活苦が懸念されているのです。

今回の記事では、このコーヒー2050年問題の概要や原因、影響を解説し、解決に向けた企業の取り組みや私たちにできることをご紹介します。最後にQ&Aもまとめているので、コーヒー好きの方やエシカル消費に関心のある方はぜひ参考にしてください。

コーヒー2050年問題とは?

コーヒー2050年問題

「コーヒー2050年問題」とは、2050年までにコーヒー豆の栽培に適した地域が大幅に減少する恐れがある問題のことです。飲用として栽培され、私たちが普段飲んでいるコーヒーの品種は「アラビカ種」と「ロブスタ種」の2種類ですが、そのどちらも栽培地の減少が懸念されています。

WCR(ワールドコーヒーリサーチ)の発表によると、2050年までにアラビカ種の栽培に適した土地は75%失われ、ロブスタ種の栽培に適した土地は63%失われると予測されているのです。ロブスタ種は、暑さや病害虫への耐性が高い強健な品種である一方、アラビカ種は病害虫や干ばつに弱い傾向があるため、特に深刻といえます。

コーヒー2050年問題の原因

コーヒー2050年問題を引き起こす栽培環境の変化には、以下のような原因があります。

  • 気温上昇
  • 湿度の上昇
  • 降水パターンの変化
  • 病虫害被害の増加

主に、地球温暖化による気候変動が栽培環境に悪影響を及ぼしています。温暖化による気温上昇や異常気象、降水パターンの変化は、コーヒーの開花や結実といった成熟過程を早めたり、不安定にしたりするのです。成熟速度の変化は、コーヒーの風味や香りにも影響をきたします。

また、温暖化に伴う気温や湿度の上昇により、病虫害が広がりやすくなります。例えば、カビが原因で発生する「さび病」が代表的です。さび病は光合成を阻害し、最終的には木を枯らしてしまう病気であり、農場全体に感染することも。コーヒーの実に穴を開け、種子を食い荒らすコーヒーベリーボーラー(CBB)という害虫も温暖化によって増加しています。

コーヒー2050年問題の影響

地球温暖化により栽培地が減少すると、当然ながらコーヒーの供給量も減少します。さらに前述の通り、気温や降水パターンの変化は開花や結実を不安定にするため、コーヒーの風味や香りといった品質の低下も懸念点の一つです。

一方で、世界的にコーヒーの消費量は年々増加しており、需要と供給のバランスが崩れることで価格が高騰する恐れがあります。結果として、生産者は安定した収入を得にくくなり、生活の困窮や農業離れが進んでしまうことになりかねません。コーヒー生産者そのものが減少し、さらなる供給不安につながることが危惧されています。

コーヒー2050年問題に対する企業の取り組み

コーヒー2050年問題

現在、さまざまな企業がコーヒー2050年問題と向き合い、解決に向けた取り組みを行っています。ここでは、コーヒー生産の支援や気候変動対策に取り組む企業をいくつかご紹介します。

ネスレ

ネスレでは、コーヒー生産者の生活向上を支援する「ネスカフェ プラン2030」を推進しています。具体的には、気候変動の影響に強い品種の導入や土壌づくりといった、再生農法への移行を推進。

また、植林や森林破壊防止、工場での温室効果ガス排出量や水使用量の削減など、地球温暖化による気候変動対策にも取り組んでいます。

※参考:ネスカフェ「Sustainability(サステナビリティ)」

味の素AGF

味の素AGFでは「産地共創」を掲げ、コーヒー農園が抱える環境課題への支援や有機質肥料「AJIFOL®」を活用したコーヒー栽培を実施しています。

「AJIFOL®」は、「味の素®」のベースであるアミノ酸を原料から取り出す過程で生まれる発酵液などのコプロ(コ・プロダクツ)を有効活用した肥料です。化学肥料由来による温室効果ガスの排出を削減するだけでなく、コプロにはさび病を防ぐ効果も確認されています。

※参考:味の素株式会社「アミノ酸の活用でGHG排出軽減、コーヒー農家支援」

スターバックス

スターバックスは、生産者の支援や店舗でのサステナビリティへの取り組みを実施しています。生産者支援で取り組まれているのは、「ファーマーサポートセンター」を通じた技術のサポートや金銭的援助、気候変動に強い品種の開発・提供などです。

また、店舗では使い捨て容器の削減や温室効果ガスの排出、水の使用量、食品の廃棄量を減らす取り組みが実践されています。

※参考:スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社「コーヒーのエシカルな調達―C.A.F.E. プラクティス」

コーヒー2050年問題に対して個人ができる取り組みは?

コーヒー2050年問題

コーヒー2050年問題の対策は、個人でも取り組むことができます。根本的な対策としては、地球温暖化対策があります。

省エネや節水、リサイクル・リユース・リデュースといった3Rの実践を通じて、これ以上コーヒーの栽培環境を悪化させないための取り組みが大切です。

また、サステナブルなコーヒーの購入を通じて、生産者を支援する方法もあります。目印として、以下のような認証マークを探してみると良いでしょう。

  • 国際フェアトレード認証
  • 有機JAS認証
  • バードフレンドリー認証
  • レインフォレスト・アライアンス認証

また、コーヒーの葉や果肉を活用した商品など、コーヒー生産者の新たな収入源を生み出す取り組みにも注目し、購入を通じて応援することも有効です。

「サステナブルコーヒー」の商品一覧(LOHACO)
ダラゴア農園コーヒーの商品一覧(LOHACO)

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コーヒー2050年問題に関するQ&Aまとめ

コーヒー2050年問題に関して、よくある疑問や本記事で紹介した内容をQ&A形式でまとめます。

Q.「コーヒー2050年問題」とは?
A.気候変動などの影響で、2050年までにコーヒー豆の栽培適地が大幅に減少する懸念のことです。特に主流のアラビカ種は栽培地の75%が失われると予測され、深刻な影響が心配されています。

Q.「コーヒー2050年問題」の原因は?
A. 主な原因は、地球温暖化による気候変動です。気温・湿度の上昇や降水パターンの変化が栽培環境を悪化させており、病害虫の被害拡大も深刻化しています。

Q.「コーヒー2050年問題」による影響は?
A. 栽培地や収穫量の減少によって供給不足や品質低下が懸念されており、需要とのバランスが崩れることで、価格高騰や生産者の生活の不安定化につながる恐れがあります。

Q.コーヒー2050年問題とSDGsの関係は?
A.コーヒー2050年問題は、主に目標1「貧困をなくそう」、目標2「飢餓をゼロに」、目標13「気候変動に具体的な対策を」、目標15「陸の豊かさも守ろう」に関連しています。

コーヒーの未来を守るためのアクションを起こそう

コーヒー2050年問題は、コーヒー業界や生産者だけでなく、消費者の暮らしにも深く関わっています。コーヒーの持続可能性を実現するためには、地球温暖化対策や生産者の支援が欠かせません。

サステナブルコーヒーを選ぶなど、環境や生産者を守るための選択を積み重ねていくことが大切です。毎日のコーヒーをきっかけに、持続可能な社会に向けたエシカルなアクションを始めてみましょう。

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