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ヴィーガンコスメとは

そもそも「ヴィーガン」とは、動物性の食品や製品を消費しない人を表しています。この言葉は、1944年にイギリスで「ヴィーガン協会」を創立したドナルド・ワトソン氏によって提唱されました。
ヴィーガンのライフスタイルは、「ヴィーガニズム」という考えに基づいています。ヴィーガニズムとは、「食料、衣類、その他の目的のために、動物の搾取や虐待を可能な限り排除しようとする哲学と生き方」です。
さらに、ヴィーガニズムでは動物の他に、人間や環境の利益にも配慮しており、動物愛護だけでなく、環境保護の観点でもヴィーガンの実践が広がっています。
このようなヴィーガンの考え方、ヴィーガニズムが取り入れられている化粧品が「ヴィーガンコスメ」です。ヴィーガンコスメは基本的に、動物性由来の原料が不使用であることが特徴となっています。
オーガニックコスメとの違い
「オーガニックコスメ」とは、有機栽培で育てられた植物を主成分としており、化学的に合成された肥料や農薬を使わない栽培方法で得られた原料を使用します。
そのため、両者は主成分が植物性由来である点では似ていますが、ヴィーガンコスメは必ずしもオーガニックではなく、オーガニックコスメは必ずしも植物性由来の成分だけで構成されているわけではない点で異なっています。
例えば、オーガニックコスメには、蜂由来の「ミツロウ」や羊毛由来の「ラノリン」など、動物性由来の成分も含まれているので、ヴィーガンコスメとは混同しないようにしましょう。
クルエルティフリーコスメとの違い
「クルエルティフリー」とは、直訳すると「残虐性がない」という意味です。化粧品や日用品の開発・製造などの全ての工程において、動物実験が行われていないことを指します。
ヴィーガンにも動物愛護の精神があるため、ヴィーガンコスメとクルエルティフリーコスメも考え方が似ています。実際、ヴィーガン製品の認定条件には「動物実験をしていないこと」を含むものが多いため、ヴィーガンコスメは基本的にクルエルティフリーである可能性が高いといえます。
ただし、一部の国や地域では、ヴィーガンの認証マークがあっても、完全にクルエルティフリーとは言い切れません。
また、クルエルティフリーコスメの中には、動物実験はしていないものの、動物性由来の成分を含む製品も存在します。気になる人は、製品を手に取る時に成分表示を見て確認しましょう。
ヴィーガンコスメのメリット・デメリット

次に、ヴィーガンコスメを使用するメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。
ヴィーガンコスメのメリット
ヴィーガンコスメは、動物性由来の成分を使用していないため、比較的肌への刺激が少ない点が魅力です。
また、動物性由来の成分の中には、牛や豚などの家畜から調達されているものもあり、畜産業は温室効果ガスの排出や森林破壊などといった環境負荷が大きいとされています。
そのため、ヴィーガンコスメを選ぶことは、自分の肌をいたわるだけでなく、環境に配慮した持続可能なライフスタイルにもつながる点でメリットがあるのです。
ヴィーガンコスメのデメリット
ヴィーガンコスメには、一般的なコスメと比べて入手しにくいというデメリットがあります。原材料や製造過程への配慮、ヴィーガンコスメの認証取得などによって製造コストが高くなる分、販売価格も高くなってしまうのです。
また、一般的に肌にやさしいとされる植物性成分ですが、人によってはアレルギーのリスクもあります。敏感肌やアレルギー体質の方は、パッチテストを実施して慎重に取り入れましょう。自分の肌には合わないと感じたら、使用はやめるようにしてください。
ヴィーガンコスメを選ぶポイント

ここからは、ヴィーガンコスメを実際に選ぶ際のポイントを2つご紹介します。
認証マークを目印にする
ヴィーガンコスメを選ぶ上で、目印となるのがヴィーガンの認証マークです。例えば、以下のような認証マークがあります。
- Vegan Trademark(The Vegan Society)
- V-LABEL(欧州ベジタリアン協会)
- ヴィーガン認証(NPO法人ベジプロジェクトジャパン)
Veganは、ヴィーガン協会(The Vegan Society)によって設立された国際的なヴィーガン認証マークで、化粧品の他に衣類や食品、家庭用品なども対象です。
V-LABELも同様に国際的なヴィーガン認証で、化粧品の他に衣類や食品、書籍などが対象となっています。

そして、ベジプロジェクトジャパンによるヴィーガン認証は、同法人によると日本で最も使用されています。
※参考:NPO法人ベジプロジェクトジャパン「ヴィーガン認証」
どの認証マークも、動物性由来の原料の不使用や動物実験を実施していないこと、製造ライン上で動物由来原料が混入することに対しての措置が、主な認定条件です。
成分表示を確認する
成分表示を見て、動物性由来の成分が含まれていないか確認するのも、ヴィーガンコスメを選ぶ方法の一つです。
動物性由来の成分には、例えば以下のようなものがあります。
- コラーゲン(豚などの動物の皮由来、魚の皮・鱗由来)
- レチノール(動物性食品に含まれる脂溶性ビタミン)
- グリセリン(動物の脂肪由来)
- プラセンタ(動物の胎盤由来)
- ケラチン(羊などの動物の毛由来)
- ミツロウ(ミツバチが分泌する蝋由来)
- ラノリン(羊が分泌する蝋由来)
スキンケア用品に配合される有効成分やオイル・バーム類の化粧品には、特に動物性由来の成分が含まれやすい傾向があります。
ただし、コラーゲンやグリセリン、レチノールのように、動物由来の他に植物由来で代替された成分が存在する場合もあるので、探してみるとよいでしょう。
ヴィーガンコスメにはどんなアイテムがあるの?

ヴィーガンコスメには、具体的に以下のようなアイテムがあります。
- 化粧水やパックなどのスキンケア用品
- コンシーラーやUV下地などのベースメイクアアイテム
- リップバームやティントなどのリップメイクアイテム
- ネイルカラーなどのネイル用品
ヴィーガンコスメには、「専門店でしか購入できない」「価格が高い」という手に取りづらいイメージがあるかもしれませんが、バラエティーショップや通販サイトで購入できるブランドにも、ヴィーガンコスメは増えてきています。
まずは馴染みのあるブランドのアイテムで、ヴィーガンコスメデビューをしてみてはいかがでしょうか?
ヴィーガンコスメに関するQ&Aまとめ
最後に、ヴィーガンコスメに関して、本記事で紹介した内容をQ&A形式でおさらいします。
Q.ヴィーガンコスメとは何ですか?
A.ヴィーガンの考え方に基づき、動物性由来の成分を使用していない化粧品のこと。基本的に、動物性由来の原料が不使用で、製造過程で動物実験が行われていない点が特徴です。
Q.ヴィーガンコスメとオーガニックコスメの違いは何ですか?
A.ヴィーガンコスメは動物由来成分を使わないコスメで、オーガニックコスメは有機栽培の植物成分を中心にしたコスメです。ヴィーガンコスメは必ずしもオーガニックではなく、オーガニックコスメは必ずしも植物性由来の成分だけで構成されているわけではないという点で異なっています。
Q.ヴィーガンコスメは肌にやさしいですか?
A.植物性由来の成分は、動物性由来の成分や化学成分と比べて刺激が少ない傾向があります。ただし、アレルギーのリスクがあるため、パッチテストをした上で使用しましょう。
動物と環境にやさしいヴィーガンコスメを選択肢に入れてみよう
ヴィーガンコスメとは、動物性由来の成分を使わず、動物実験の有無にも配慮した化粧品のことです。また、動物性原料を使用しないことで環境への負荷も抑えられるため、動物にも地球にもやさしい選択肢になります。
ヴィーガニズムの考え方は、日常の食生活では実践が難しいと感じる方でも、コスメなら身近に取り入れやすいといえます。
まずは、毎日のスキンケア・メイク用品の一つに、ヴィーガンコスメを取り入れてみてはいかがでしょうか。
