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ビーチフレンドリー(リーフセーフ)な日焼け止めとは?

ビーチフレンドリーな日焼け止めとは、一言で言えば「海の生態系に悪影響を与えない成分で作られた日焼け止め」のことです。特にサンゴ礁への影響に配慮した物は、「リーフセーフ」とも呼ばれます。
一般的にビーチフレンドリーな日焼け止めは、サンゴの白化現象を引き起こすとされる「紫外線吸収剤」の代わりに、ミネラル由来で海洋環境への影響が極めて小さい「紫外線散乱剤」を使用しています。
サンゴの白化現象とは、海水温上昇や化学物質が刺激となって、サンゴの体内で共生する「褐虫藻(かっちゅうそう)」という藻類が逃げ出すことで起きる現象です。栄養を与え合っていた褐虫藻がいなくなると、サンゴはいずれ餓死してしまいます。
また、成分に対する配慮だけでなく、パッケージに配慮しているブランドも。パッケージに再生プラスチックを使用したり、売上の一部をサンゴ保全活動に寄付したりと、製品作り全体で環境への配慮を示しているブランドが、消費者からの支持を集めているのです。
日焼け止めが引き起こす環境問題
海に入る時、肌に塗った日焼け止めは、少しずつ海水に溶けだしていきます。一見、量は少ないように思えるかもしれませんが、実は年間6,000~1万4,000トンもの日焼け止めが世界の海に流れ込んでいると推計されるほどです(※)。
多くの日焼け止めに含まれる「オキシベンゾン」などの紫外線吸収剤は、サンゴの白化現象を引き起こすことが研究によって示されています。サンゴ礁は「海の森」とも呼ばれ、地球上の海洋生物の多くがすみかとしています。
化学物質によってサンゴが白化・死滅すると、そこにくらす魚たちも姿を消し、生態系全体が崩れてしまうのです。美しい海を守るためにも、日焼け止めの成分選びは無視できない問題といえるでしょう。
※出典:BBC NEWS JAPAN「パラオ、有害成分含む日焼け止めを全面禁止 世界初」
海外で進む日焼け止めの規制

こうした環境問題への対応として、世界各地では日焼け止めに含まれる化学物質の規制が進んでいます。観光客も例外ではなく、これらの国に渡航する場合、事前に成分を確認しておくことが重要です。
アメリカ(ハワイ州)
ハワイ州では、2021年1月からサンゴ礁への有害性が指摘されているオキシベンゾンと「オクチノキサート」を含む日焼け止めの販売が法律で禁止されました。
ハワイ州環光局は、これら2つの成分の排除にとどまらず、全ての化学成分を使用しないミネラルサンスクリーンの利用を幅広く推奨しています。実際に、各島(郡)では、独自に厳しい規制を導入しています。
※参考:CNN「ハワイの日焼け止め規制法が成立、サンゴ礁に有害な成分を禁止」
タイ
タイでは、2021年に全ての国立公園内において、次の4つの成分を含む日焼け止めの持ち込みや使用が禁止されました。
違反した場合は、最大10万バーツ(約50万円相当)の罰金が科される可能性があり、外国人観光客も対象となります。タイの美しい海や離島を訪れる際は、事前の成分チェックが必須です。
※参考:タイ国立公園事務所Webサイト
パラオ
世界で最も早く規制に動いたのが、パラオです。2020年からオキシベンゾン、オクチノキサートをはじめとする、環境に有害な10種類の化学物質を含む日焼け止めの輸入・販売・持ち込みが全面的に禁止されました。
法律では、違反成分を含む日焼け止めを持ち込んだ場合、入国時に没収すると定められているため、渡航前に手持ちの日焼け止めの成分を必ず確認しておく必要があります。
※参考:在パラオ日本国大使館「サンゴ礁に有害な成分を含む日焼け止めの禁止について」
ビーチフレンドリー(リーフセーフ)な日焼け止めの選び方は?

ビーチフレンドリーな日焼け止めを選ぶ際は、ビーチフレンドリーというパッケージの表示だけをうのみにせず、成分を自分の目でチェックする習慣をつけましょう。
避けるべき成分をチェックする
日本では、現時点で日焼け止めの成分に関する法的規制がありません。そのため、パッケージにビーチフレンドリーと表示されていても、サンゴにダメージを与える成分が含まれているケースもあります。
商品を購入する際は、成分表にオキシベンゾン、オクチノキサートといった表記がないかを確認しましょう。店舗での購入時はパッケージ裏面の成分表を、オンライン購入時は商品ページに掲載されている成分情報をチェックするのがおすすめです。
紫外線散乱剤ベースの物を選ぶ
また、紫外線吸収剤ではなく、紫外線散乱剤を使用している商品を選ぶことも大切です。成分表に「酸化亜鉛(ZnO)」や「酸化チタン(TiO2)」という表記があれば、紫外線散乱剤が使用されている証拠です。
また、パッケージに「ノンケミカル」「紫外線吸収剤不使用」と書かれている物も目安になります。紫外線散乱剤は肌の表面で紫外線を物理的に反射・散乱させる仕組みであり、従来の紫外線吸収剤と仕組みが異なることから、サンゴにダメージを与えません。海に溶けだした場合も環境への影響が極めて低いといわれています。
その際、粒子がサンゴに吸収されない「ノンナノ」タイプを選べれば、さらに理想的です。
ビーチフレンドリー(リーフセーフ)に関するQ&Aまとめ
Q1. 日焼け止めは、環境にどのような影響を与えるのでしょうか?
A. 海水に溶けだした日焼け止めの化学成分がサンゴの白化現象を引き起こし、サンゴが死滅することで、魚や海洋生物の生息地が失われます。年間6,000~1万4,000トンもの日焼け止めが海に流れ込んでいるともいわれています。
Q2. 各国では日焼け止めの成分について、どのような規制が行われていますか?
A. ハワイ州・タイ・パラオなどではオキシベンゾン、オクチノキサートなどを含む日焼け止めの使用・販売・持ち込みが禁止されています。違反には、罰金や没収といった罰則が設けられており、観光客も例外ではありません。
Q3. ビーチフレンドリー(リーフセーフ)な日焼け止めとは、どのような物ですか?
A. 海の生態系、特にサンゴ礁に悪影響を与えない成分で作られた日焼け止めです。化学的な紫外線吸収剤の代わりに、酸化亜鉛・酸化チタンなどのミネラル由来の紫外線散乱剤を使用している物が代表的です。
Q4. ビーチフレンドリー(リーフセーフ)な日焼け止めは、どのように選べばよいでしょうか?
A. パッケージの表示だけでなく、成分表を確認してオキシベンゾン、オクチノキサートが含まれていないかをチェックしましょう。酸化亜鉛、酸化チタンを使用した紫外線散乱剤ベースの商品、またはノンケミカル、紫外線吸収剤不使用と表記された製品を選ぶと安心です。
今年の夏から、肌と海をどちらも守る選択を始めよう
日焼け止めは自分の肌を守るためのアイテムですが、選ぶ成分によっては美しい海を傷つけてしまう可能性があります。ビーチフレンドリーな日焼け止めを選ぶことは、特別なことではありません。
成分表を少し確認して選択するだけで、海の生態系を守ることにつながるのです。夏のレジャーを心置きなく楽しむためにも、肌にも海にも優しいビーチフレンドリーな日焼け止めを、ぜひ取り入れてみましょう。


