読み終わったら鳥の言葉が分かるようになる?2025年話題の科学エッセイ【書評】

普段暮らしているとよく耳にする、「チュンチュン」「ホーホー」という鳥の鳴き声。その鳴き声ひとつひとつに、実は意味があって、それらを鳥たちが理解して行動しているとしたら——『僕には鳥の言葉がわかる』(鈴木 俊貴/小学館)はそんな新しい視点を得られる科学エッセイです。

普段暮らしているとよく耳にする、「チュンチュン」「ホーホー」という鳥の鳴き声。その鳴き声ひとつひとつに、実は意味があって、それらを鳥たちが理解して行動しているとしたら——『僕には鳥の言葉がわかる』(鈴木 俊貴/小学館)はそんな新しい視点を得られる科学エッセイです。

イラストたっぷりで大人も子供も楽しめる、鳥についての科学エッセイ

著者の鈴木俊貴先生は、シジュウカラなどの鳥の研究を中心に、動物言語学という新しい学問をつくられた東京大学准教授の動物言語学者。文部科学大臣表彰をはじめとして、国内外でさまざまな賞を受賞されている気鋭の科学者です。
鳥の言葉に関する本、と聞くと少し難しそう・・・と感じるかもしれませんが、全くそんなことはありません。鈴木先生が鳥の言葉に出会い、さまざまな手法で新しい発見を次々と解明していく様子が、柔らかい語り口調で書かれており、一度ページを開くとあっという間に鳥たちの世界へ引き込まれてしまいます。また鈴木先生直筆の可愛らしいイラストが、ふんだんに使われていて、読んでいて本当に楽しいんです。
発売当初は本屋の科学書のコーナーに置かれている印象でしたが、発売からたちまち10万部を突破。最近では話題書や児童書の棚にも並べられている印象で、大人から子供まで幅広く楽しめる、2025年話題の一冊です。

鳥の鳴き声には意味がある!?

鈴木先生が発見した内容とは、シジュウカラを中心にした”カラ類”の鳥たちが発する「ディーディー」、「ヂヂヂヂ」といった声のそれぞれに意味があり、それらの意味をお互いの種が理解している、というもの。
偶然観察した鳥の様子をきっかけに、さまざまな手法で長い時間をかけて”鳥には言葉がある”ということを、ひとつひとつ科学的に解明していく様子は、まるで頭の中で豆電球が光るような驚きの連続でした。
巻末にはQRコードが付いていて、それぞれの鳴き声を実際に聞きながら読めます。聞いたことあるかも!という鳴き声もあり、楽しく鳥たちの言葉を学べます。

『人間だけが言葉を持つ特別な存在ではない』ことから思うこと

そしてなにより、

人間だけが言葉を持つ特別な存在ではない

という鈴木先生の発見に、世界の見え方が変わるような衝撃を受けました。
「ワン」「ニャー」「ミンミン」「ケロケロ」という、日常で何気なく耳にする動物たちの鳴き声にはそれぞれ意味があり、もしそれを人間以外の動物たちだけが理解できているのだとしたらーー?もしかしたらこの世界は、人間だけが気づいていない無数の会話で溢れているのかもしれない、なんて想像をするとたまらなく胸がワクワクしてきますよね。

この本を読んでから外に出ると、いつもつけているイヤホンを外して、思わず空を見上げてみたくなります。
耳を澄ませて鳥の声を聞いてみることで、当たり前の日常の景色がほんの少し鮮やかに見えるような、そんな一冊です。皆さんもぜひ読んでみてくださいね!

僕には鳥の言葉がわかる』(鈴木 俊貴/小学館)

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肥田あかね
Akane Hida
アスクル コーポレート本部 コーポレートコミュニケーション サステナブル・サービス開発
新卒でアスクルに入社、商品部での4年間の経験を経て、サステナビリティの世界へ飛び込みました。趣味は読書で、毎春1人で「今年の本屋大賞を当てるダービー」を開催しています。
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